リニア神奈川県駅工事現場をエンタメの拠点に 開業延期も新たな活用策で周辺活性化に
リニア中央新幹線・神奈川県駅(仮称、相模原市)の工事現場で11月、「さがみはらリニアフェスタ」と題したイベントが行われた。地下約30メートルまで掘り下げられた大きな空間がコンサート会場となり、一般市民が足を踏み入れて鑑賞するなどした。リニア開業が令和16年以降に延期される中、県などは「エンターテインメントの拠点」にすることで駅周辺の活性化にもつなげていきたい考えだ。 【写真】一般公開されたリニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)の工事現場で、トンネル部に投影されたプロジェクションマッピング ■地下約30メートルに響く歌声 組み上げられた鉄骨が並ぶ巨大な地下工事現場で9日に行われた同フェスタ。地下約30メートルの場所に作られた特設ステージでは、「かながわ観光親善大使」でもある歌手の河村隆一さんが歌声を響かせた。周囲の壁で絶妙に反響し、観衆を魅了。イベントを計画した黒岩祐治知事も「河村さんから『音響もよく歌いやすかった』と言ってもらった。(工事現場を)エンターテインメントの拠点にできないかと考え、その第一歩を踏み出すことができた」と満足そうに話した。 高さ約16メートルの地下トンネル部分では、実際にリニアが走るイメージ映像などを映し出すプロジェクションマッピングも行われ、訪れた約3000人の市民を楽しませた。同フェスタは10日まで2日間行われた。 ■地元の吹奏楽部も 神奈川県駅は、JR東日本と京王電鉄の橋本駅に隣接する。長さ約680メートル、深さ約30メートル、最大幅約50メートルの駅部は掘削作業が進み、現在は構造物の構築に入っている段階だ。一方で、JR東海は品川-名古屋間について、今年に入って9年の開業を断念することを表明。早くても16年以降になる見通しとなった。 神奈川県駅が実際に運用されるまで長期間になることなどから、県は駅の有効利用を検討。昨年10月、リニアや工事の状況などへの理解を深めてもらおうと、JR東海が地元高校の吹奏楽部などとともにコンサートを行った前例に着目し、劇場空間として活用できないか同社と協議して、今回のイベントにこぎつけた。黒岩知事は「降りたくなる駅にしようとやってきたが、駅ができるまでの間も行きたくなる場所にしていきたい」と意気込む。 ■「だんだん実感」