旅は、なぜ心を自由にするのか? 2週間の欧州滞在から見えた新たな旅情、移住体験者が語る「距離」が紡ぐ物語とは
移動が生む感動と前向きな生きる力
人は旅をすることで、心がリセットされるのかもしれない。日常生活で身につけている鎧のようなものを、旅先では脱ぎ捨てることができる。 「旅の恥はかき捨て」 という言葉があるように、後のことを気にせず、素の自分でいられるからだ。そして、そのフラットな心が何かに反応したとき、旅情を感じるのだろう。 旅情を感じる要素はたくさんある。日常からの解放や自己探求、懐かしさの再発見、あるいは現実からの逃避といった側面も含まれる。こうした要素が複雑に絡み合っていることもあるだろう。物理的にも精神的にも距離を超えるとき、人の心はリセットされ、自由になるのかもしれない。そして、自分が本当に感動できるものに出会い、旅情を感じるのだ。 そう考えると、旅情という古くからある言葉も、現代社会で疲れた心を癒やし、新たな一歩を踏み出すための大切な要素かもしれない。旅情は、心をリフレッシュし、前向きに生きる力を与えてくれるものだといえるだろう。
喜多崇由(フリーライター)