日本に1つしかない「赤ちゃんポスト」 行政の支援で増やす必要はあるのか?
厚労省の見解は
慈恵病院がゆりかごを設置して15年、厚労省はどのようにみているのだろうか。かつて設置にあたっては「違法ではない」という見解は示したが、その後の賛否は明確にしていない。 「ゆりかごが乳児の殺害や遺棄事件の防止になっているか」と家庭福祉課に質問したところ、「多くの子どもの命が救われたという事実は重く受け止めている」としつつも、子どもの出自が分からない問題や、預け入れを前提とした自宅での危険な出産を助長する恐れがあり、赤ちゃんポストではなく、子育てや予期せぬ妊娠に悩むかたが早期に相談できる体制づくりを引き続き進めたいとの回答だった。 また、設置したいと手を挙げる医療機関や団体に補助金を出す考えはあるのかと聞いたところ、「経済的な支援策は検討していません」とのコメントだった。
今年も愛媛、神奈川、北海道などで、乳児を殺害したり、遺体を遺棄したりする事件が起きている。いずれも熊本から遠い場所で、ゆりかごがその地にあれば助かった可能性もゼロではない。厚労省は「赤ちゃんポストが多くの子どもの命が救った」と評価しながらも、増やすことを目指さないのは、命の救出に消極的にも見える。 前出の熊本市専門部会の安部部会長はこう強調する。 「ゆりかごを、各都道府県に1カ所はつくることが望ましいと考えます」
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