【大学トレンド】増える「英語」で学ぶ医学部 国際化に対応した医師を目指す
受験人口が減少する中でも、人気を維持している医学部。入学してからも学ぶことが多く大変なイメージがありますが、海外で活躍したり、外国人患者に対応したりするために、英語力を磨く医学部生が増えています。 【写真】シミュレーションセンターで身体診察をする金本すずさん
2017年に千葉県成田市に開設された国際医療福祉大学は、医学部の中で最も新しい私立大学です。国際色豊かな医学教育を特色とし、学生の7人に1人は留学生です。外国人教員や海外での経験が豊富な日本人教員も多く、大半の授業は英語で行われます。金本すずさん(6年)は、グローバルな環境に興味を引かれて入学した一人です。 「もともと医学部のほかに国際系の学部にも興味があったので、医学と国際の両方を特色とする国際医療福祉大学に魅力を感じましたし、新設の医学部ということでワクワクしました」 留学経験はないものの、英語が得意だったという金本さん。世界中のさまざまな人とコミュニケーションを取るのが好きで、その手段として英語を学ぶことも苦に感じませんでした。同学部は一般選抜で受験しましたが、2次選考では英語での面接がありました。 「面接は1時間で英語と日本語、それぞれ30分ずつでした。後半は日本語で時事問題を問われましたが、英語で行われた前半のほうが和やかな雰囲気で手ごたえを感じました」 同大学の特徴である英語で行われる授業も、金本さんはメリットしか感じませんでした。 「医学を英語で学ぶので、海外の論文もスムーズに読めるようになりました。英語で書かれた資料が常にそばにあることにも抵抗がなくなり、すごく良かったと思います」
4週間の海外臨床実習
金本さんが同大学の医学部を選んだ理由は、ほかにもあります。 「6年次には全員が海外で臨床実習(実際に患者と接する実習)ができることも、ほかの医学部にはない点だと思いました」 医学部のカリキュラムは一般的に1~4年次に一般教養や基礎医学、臨床医学などを座学で学び、5年次から6年次の前半にかけて臨床実習、その後は卒業後の研修先の選択や卒業試験、医師国家試験の受験が待ち構えています。しかし最近は臨床実習について、同大学のように4年次から関連施設でスタートさせるなど、より早い段階で取り入れる大学が増えています。 その成果は海外臨床実習など場を変えた時に、より感じるものかもしれません。金本さんも米国ヒューストンの病院の感染症科で臨床実習を経験し、大きな成長や自信につながったと言います。 「海外臨床実習は医学部で学んできたことの集大成という位置付けです。4週間という限られた期間でしたが、入院患者さんに毎日会ううちに日本の話題を出してくれるなど、回診を重ねるごとに打ち解けてくれたことが印象的でした。患者さんと実際に接して、授業や実習で身につけたことが海外でも通用した感動は大きかったです」 一緒に実習した現地の医学部生や現地で働く日本人医師の存在も、刺激になりました。 「現地の医学部生は、すでに卒業後の研修医のように動いていました。患者さんにも責任感を持って接していましたし、医療チームの一員として戦力になっていました。現地の日本人医師からは、自分の目標に向かってパッションを持って突き進むことを教わり、楽しそうに働く姿を見て、私もそうなりたいと思いました」