2024年度の首都圏・女子中学受験動向を「女子学院桜蔭対策」専門塾に聞く
埼玉では地元志向が目立つ
――地域別にはどうですか。今年は埼玉の受験者数が増えたという動向が報じられていますが。女子はいかがでしたか。 竹本:東京の生徒が埼玉の学校を受ける数は増えましたが、埼玉在住の受験生が東京の学校を受ける数は減っていて、地元志向が見受けられます。 2024年度入試の注目校は、なんといっても淑徳与野です。今年から医進コースをスタートさせたことで注目を集め、御三家の併願校として受験する生徒も多くいました。 東京まで通学しなくても、地元で評判のよい学校に通わせようというトレンドのひとつと考えられます。
最難関校では差がつく問題が出題される
――入試問題はいかがでしょうか。算数は中堅校でも立体図形の切断が出てきているとも聞きますが。 竹本:女子校だと、そう多くの学校では出ません。最難関校の桜蔭や豊島岡、それと最近では洗足ですね。出題する理由としては、やはり点差がつくからでしょう。桜蔭や豊島岡、洗足を受ける層は皆きちんと勉強をしてきていますから、差をつけるとしたら立体図形の問題を出すことになります。 また、それ以外の女子校でも典型題をそのまま出すことは減っており、何かしらの工夫が見られる問題が多いようです。 今年の出題では、鷗友で平行四辺形を折りたたむ問題が出ました。折りたたむとどうなるかを自分で作図する必要があります。フリーハンドで作図するトレーニングをしなくてはなりませんから、普段から自分自身の手を動かして問題を解くようにしたいですね。 国語は長文化が進んでいるのと、記述問題が増えています。これは国語だけではないのですが、問題文が書籍からの引用ではなく、ネット記事からの引用なども出てきています。男子校や共学と比べて、女子校は記述で字数制限がない問題が多いのも特徴です。 国語もそうですが、社会でも自分の考えを述べさせる問題が増えています。東洋英和女学院では、フランス人のビゴーが書いた明治時代の日本の風刺画を提示し、そこから読み取れるものを書かせる問題が出ました。必要とされる知識は教科書レベルですが、その知識をもとにして考えさせる問題です。 思考力を求める問題の増加からも、自分の頭で考える力を求める学校が増えてきていることがわかります。付け焼き刃の知識ではなく、身の周りの出来事について、日頃から「なぜ?」という視点を持つことが、特に難関校を目指していく上では重要です。
まとめ|首都圏女子の中学受験の動向
首都圏女子の中学受験は、最難関校の倍率が高止まりしている一方で、付属校や国際系の難関校も引き続き高い人気があるようだ。受験問題は難易度が高まり、どの科目でも思考力を問う問題が見られるようになり、難関校を目指す生徒は対策が必要だろう。
ダイヤモンド教育ラボ編集部