【解説】“年収の壁”撤廃で手取りが減る?「106万円の壁」撤廃で起こるメリット・デメリットとは「労働時間週20時間」が大きなポイントに
FNNプライムオンライン
毎日のようにニュースになっている「103万円の壁」の見直しですが、そんな中、別の壁に新しい動きがありました。 一部の人が厚生年金に加入する「106万円の壁」の撤廃に向けて、厚生労働省が議論を本格化させることが分かりました。 106万円の壁がなくなることで新たに社会保険料を支払う人は、実に200万人なるとみられています。 では具体的にはどうなる可能性があるのでしょうか。 スタジオで例を挙げて詳しく解説します。 例えば、夫が会社員のパートのA子さんの場合、106万円以上働いてしまうと社会保険料を払わなければいけないため、手取りが減ってしまいます。 そのため、年収を106万円以内、例えば105万円に抑え、厚生年金に加入せず手取りもそのままにしていた方がいいのではないかということで、ここで106万円の壁が発生してしまうというのが言われている“壁”です。 現在、社会保険料を払わなければいけなくなるパターンというのが2つあります。 パターン1は、年収130万円以上の人は一律で全員、社会保険料を支払う義務があるというもの。 パターン2は、3つの要件があり、この3つがそろうと社会保険料を支払うというもので、見直されるのがこのパターン2の方ということです。 ・年収が106万円以上 ・企業規模が従業員が51人以上の企業 ・週20時間以上 先ほどのA子さん(35)をもう1度見てみると、A子さんの夫が会社員で、今扶養に入っている状況。パートは時給が1100円で年収106万円以内に抑えたいので105万6000円の年収です。働いている企業が従業員100人規模、週20時間働いているとします。 現在のパターンでいうと、先ほどの要件3つのうち、106万円以上を満たしていないので、A子さんは社会保険料を支払う必要がありません。 手取りは所得税などを引かれて104万円ほどですが、今回の見直しがあるとA子さんの例が変わってきてしまうといいます。 この要件のうち2つが撤廃された場合はA子さんは労働時間週20時間以上働いているだけで、社会保険料を払わなければいけなくなります。 厚生年金、社会保険料健康保険料の支払いなどがあり、結局、手取りが89万円から90万円になってしまうということなので、社労士と税理士の渋田さんは「かなり手取りが減ってしまうのでは」とみています。 誰も置き去りにしないように、ちゃんと制度を充実させていただきたいと思います。