長崎にて雲仙湯道文化祭が開催! 家元・小山薫堂率いる「湯道」の未来に光が射した
まさに街ぐるみで盛り上がった湯道文化祭
そのほか、期間中は「雲仙・小浜スタンプラリー」なども実施。小浜歴史資料館では3日間限定で湯道の特別展示が行われた。この施設は小浜温泉発展の基礎を築き、島原藩主から「湯太夫」の称号を賜った一族の邸宅で、温泉マニア必見のスポットである。 イベントの盛況ぶりでは、最終日の「タネト湯道市」が出色だろう。雲仙市のオーガニック直売所「タネト」にて、地元の「雲仙福田屋」、長崎市の「プルミエクリュ a.k.a 深田惣菜」、京都の「実伶」などが雲仙・小浜の温泉水を使った特別メニューを販売。地獄ソーメン(福田屋)やなぽりサンドイッチ(深田惣菜)といったこの日限りの逸品を、多くの人が列を成して買い求めていた。
湯を愛するさまざまな人々が集まり、いくつもの縁が繋がったこの期間。温泉という“触媒”の性質ゆえか、文化祭中は終始温かな祝祭感に包まれていた気がする。とりわけ印象的だったのは、温泉地にはまだまだ展開力があると確信させた湯道未来会議。あの会場に漂っていた静かな熱気が忘れられない。そこには、湯道そのものに向けられた期待や希望もあったはずだ。 そんなお祭りの最後は、家元・小山薫堂の言葉で締めくくろう。 「今回、連携協定や文化祭という形で湯道を正式に認めてくださった雲仙市に感謝申し上げます。他の温泉地でもイベントコラボが増えており、湯道を広めるきっかけをつくっていただいているのが本当に嬉しいですね。湯道自体はまだ道半ばですが、ゴールは200年後だと思っていますので(笑)。実際、歴史ある“道”や“祭事”の多くが、最初は遊びみたいなことから始まったはず。僕らもこうした経験を重ねていき、いずれ本物の“道”に至れたらと願っています」
写真:杉本 圭、雲仙市 文:葉山 巧
【関連記事】
- 【写真】授賞式会場となった1935年開業の雲仙観光ホテル。スイス・シャレー風のスタイルと、日本の在来建築が壮麗に融合したクラシックホテルだ。国登録有形文化財指定。
- 【写真】多彩な意見を持ち寄り、これからの温泉のあり方を探った湯道未来会議。聴衆も熱心に聞き入っていた。
- 【写真】小山とともに淋汗茶湯に協力されたお二人。左は雲仙焼窯元四代目の石川裕基さん。右は映画『湯道』の登場人物のモデルにもなった、裏千家今日庵業躰の奈良宗久さん。
- 【写真】雲仙湯道文化祭の期間中、湯道の特別展示を行った小浜歴史資料館。
- 【写真】料理人が長崎県出身なことから、京都の名店「実伶」が湯道ランチボックスを特別に販売。温泉水の炊き込みご飯のおにぎりに「タネト」自慢の野菜を使った惣菜などを詰め合わせた。