水原希子さんの活動を通じて見えてくる、海を「まもる」ために必要なこと
というのも、ニュージーランドに行ったとき、リサイクルのレベルが高くてびっくりしたんです。スーパーマーケットにはプラスチックのペットボトルがほとんど見当たらなくて、ほぼすべてガラス瓶。もしペットボトルを選んだとしても、分別がものすごく細かくて、捨てるときは蓋の色まで分けています。リサイクルにちゃんと回ることがわかっているから、罪悪感が違う。コンポスト※も当たり前に普及しているし。世界に目を向けると、先を行っている国がたくさんありますね。 ※家庭から出た生ごみを土と混ぜて入れることによって、土の中の微生物等の働きで堆肥(compost)に変えること。また、「堆肥をつくる容器(composter)」を指すことも。 井植 確かに国によって全然違います。私は先月、ヨーロッパを仕事で3週間ほど回っていたのですが、もはやペットボトルはどこに行っても見かけません。ホテルに備え付けのお水も、ガラスの瓶か紙っていうのが当たり前。カードキーも木製なんですよね。 水原 ヨーロッパは確かにそうですね。 井植 ボリュームで考えると小さなことでも、人々の意識を導くという意味で、ガラス瓶も木のカードキーもシンボリックなものです。希子さんが開発なさっているキークス(kiiks)の商品も、メッセージ性がすごく強いですよね。 水原 ありがとうございます。本当に未熟ですけど、海のこと、環境のこと、地域の活性化、それらの総合的なメッセージを、日本の人たちのみならず海外の人たちにもなんとか伝えたいと思ってやっています。自然からの豊かなインスピレーションを通して、いろんな文化を守り、ひいては日本を盛り上げることにつながっていったらいいなと考えています。
井植 素晴らしい。ツールの力ってすごく大きいと思いますから。キークスは今、バームを発売なさっていますが、今後はコスメにとどまらず、いろんな活動に普及させていく方向性ですか。 水原 はい。キークスは実験の場なんです。私が学びたいこと、やりたいことを実験的にやってみて、それをみんなにシェアするっていう、本当にそんな感じです。それがいい方向へとつながっていけばいいなと願っていますし、私自身がこのブランドを通してたくさん勉強させてもらっています。 井植 希子さんは、洋服のブランドもやっていらっしゃるんですね。 水原 はい。オッケー(OK)っていうブランドです。当初はサステナビリティのことをまったく意識せず、かわいい服をつくりたいっていうシンプルなモチベーションで始めたんですけど、ここ数年ですべて環境に優しい生地を使うようにシフトしました。シーズンでの展開もしていません。なので利益はあまり出ないのですが、それも含めてメッセージを伝えるひとつのツールとなればいいかなと思っています。