伊那谷楽園紀行(13)成功した企画展、大いにウケた「はやぶさ」手作り模型
伊那市創造館は、地域の誇りでもある上伊那図書館の建物をリニューアルした期待の施設だった。 伊那市は16日、同市荒井の市有形文化財「旧上伊那図書館」を再整備した文化施設「伊那市創造館」の完成式を現地で開いた。自然科学や考古学を中心とした学習や交流の拠点と位置付け、講演会や企画展も開く。開館は5月24日。 1930(昭和5)年の建築で、鉄筋コンクリート造りの洋館の外観は変えずに耐震工事を施した。建物2棟のうち、4階建ての本館(延べ約1370平方メートル)の内部には講堂や展示室、体験学習室などを整備。地上、地下各1階の収蔵庫(延べ約1250平方メートル)は、地元の教員らが集めた植物の標本や古文書などを収める。総事業費は、土地取得費を含め約9億6千万円。 展示室では、いずれも国重要文化財に指定されている神子柴遺跡(南箕輪村)出土の石器群や、御殿場遺跡(伊那市)の顔面付釣手形(がんめんつきつりてがた)土器など、旧石器時代や縄文時代の資料を陳列。昆虫や星の観察などの体験講座も企画する。 完成式には、上伊那教育会役員のほか、2006年度に旧図書館の利用方法を検討した委員会の委員ら約70人が出席。公募で民間から選ばれた捧(ささげ)剛太館長は「地域の歴史や思い入れを受け継ぎながら、講座や展示を通じて魅力を発信したい」とあいさつした。(『信濃毎日新聞』2010年4月17日付朝刊) 期待の施設とはいえ、限られた予算の中で企画展に割けるお金は、決して潤沢ではなかった。1回40万円が、決められた金額。その中で、展示物を説明するパネルをつくったり配付資料の印刷代もまかなわなくてはいけない。そのようなものは業者に注文すれば、いくらでも豪勢なものができるが、あっという間に予算が消えてしまう。 少ない予算の中で、どうやって展示をしていくのか。試行錯誤の中で見つけたのが、はやぶさの模型を借りた時にも実践した、アマチュアで面白いことをやっている人に協力を仰ぐことだった。