「お酒は少量なら脳梗塞のリスクを減らす?」結局お酒は健康に良いのか悪いのか…最新研究をもとに医師が解説
自分の遺伝的リスクで判断する
この結果を見て、私たちはどのように生活習慣を変えれば良いだろうか? 筆者は自分のリスクなどを総合的に判断して決めるべきだと考えている。 近い親族にがんになってしまった人がおらず、遺伝的にがんのリスクの低い人であれば、1日1~2杯のお酒を「たしなむように飲む」ことは問題ないだろう。それによって人生が豊かになる人もいるだろうし、飲酒量が少量であれば脳梗塞や心筋梗塞のリスクが下がるというおまけまでついてくる。 その一方で、がんの家族歴があるなどでがんのリスクが高めの人は、アルコールの摂取量を最低限に抑えることをおすすめする。 がんに関しては飲酒量がゼロの場合が一番リスクが低いと報告されているからである。 もちろんお酒が大好きでそれでは人生がつまらなくなってしまうという人もいるだろう。そういった人は、医師に止められているのでなければ断酒する必要はないかもしれないが、できるだけ飲酒の量を控えめにしてほしい。 お酒は量を減らせば減らすほどがんのリスクが下がると考えられるからである。 図/書籍 津川友介著『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』より 写真/shutterstock 参考論文 *Wood AM et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies. Lancet. 2018;391(10129):1513-1523. *Holmes MV et al. Association between alcohol and cardiovascular disease: Mendelian randomisation analysis based on individual participant data. BMJ. 2014;349:g4164. *GBD 2016 Alcohol Collaborators. Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet. 2018;392(10152):1015-1035.
---------- 津川友介(つがわ ゆうすけ) 東北大学医学部を卒業後、ハーバード大学で修士号、博士号を取得。聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て、2017年から現職。著書に10万部超のベストセラー『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』、『世界一わかりやすい「医療政策」の教科書』、共著に『「原因と結果」の経済学』などがある。 ----------
津川友介