「定年まで働けるのか」「白髪が目立って萎える…」中高年が陥る鬱病や不安障害かも?ミッドライフクライシスとは
◆「ミッドライフクライシス」の具体例 キャリアの方向性を見失い、突然資格を取ってみたり、何かを変えたくなって思い切って物を整理してみたり。 体力の衰えから、毎日の子どもの宿題の丸つけや忘れ物チェック、習い事の送迎がきつかったり、疲れを癒やすのはだらだらスマホだったり。 女性の場合は、仕事、家庭、子どもの年齢や人数、容姿の変化、老後の見通しなど、気になる要素が複雑に絡み合っています。 それぞれに対応しようとすると、やることが多すぎるため、ジタバタしがちです。 男性の場合は、仕事では「このままだと、この辺りに着地しそうだな」と先が見えて行き詰まりを感じたり、体力の衰えから男性らしさを失う不安に駆られたりします。 その結果、急に転職や起業をしたり、アウトドアに目覚めてキャンプ用品を一気にそろえたり、筋トレに励んだりしがちです。
◆40歳以降は発達の流れが変化する この「中年の危機」は、心理学者エリクソンの「心理社会的発達理論」で説明することができます。 「人生には何度か壁が出現する。それを越えることで、心理的に成長していく」という考え方です。 人は40歳くらいまでは、新しい感覚や知識を得ることを軸に発達していきます。 この世に誕生後、身体も精神も成長していき、社会に出て、生き方を選び、自分の家族をつくり、愛を得て成長していく。だいたい40歳で成長のピークを迎えます。 それ以降は発達の流れが変わります(下図)。 人生の終着点に向かった発達に変化し、次世代を担う人たちに、持っているものを渡し始めるのです。 「得る」から「減らす」へと変わる時期。今までとは、発達の潮目が変わる時期。 エリクソンはそこまで言及していませんが、私は、この潮目が変わり、これまでと違う感覚に戸惑う「ミッドライフクライシス」こそ、「40歳の壁」の正体だと考えています。 ※本稿は、『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
尾石晴