はるな檸檬が描くファッション業界のリアル:話題の漫画『ファッション!!』をひもとく
ファッションショーのランウェイやファッション雑誌のモデル、コレクションのデザイナーなど、傍からみたら輝かしい世界に映る。周りからの羨望の眼差しを向けられ、自分もこの業界で働いてみたいと思う人も多いはず。 でも、どんな業界にも裏側はある。そこでチェックしたいのが、漫画家のはるな檸檬がOUR FEELで連載している『ファッション!!』だ。ファッション業界で働く主人公が新人デザイナーと出会うことで、さまざまなゴタゴタや人間関係に巻き込まれていく物語となっており、ファッション業界の表と裏、人間の欲望や情熱がリアルに描かれている。 今回、はるな檸檬さんにファッション業界を漫画にした経緯をお聞きしながら、業界の華やかさとその裏側にある泥臭さについて漫画家目線で語っていただいた。
ファッション業界で働く人たちの面白さ
ーファッション業界に興味を持ったきっかけを教えてください。 私は昔から宝塚歌劇が好きでファンコミュニティに入っていたんですが、そのコミュニティの中にファッション業界の人が多くいました。趣味を通じてファッション誌の編集者やフォトグラファーの友人も増え、一時期その子たちとルームシェアをしていたこともあるくらいです。 当時私は仕事に余裕があったので、合間を見て彼女たちのお手伝いもしていました。撮影に必要なブランドの洋服やアクセサリーを借りに高級店を渡り歩くこともありましたね。 ーいつかはファッションをテーマに漫画を描くだろうなという予感はありましたか。 描きたいなっていうのは、心のどこかにありました。あまりにも日常からかけ離れているというか、私がそれまでまったく知らなかった世界ということもあって、どのように表現したら読者の皆さんが面白がってくれるだろうと考えてましたね。 だって、私の周りのファッション好きの子は、本当にお金がなくて日々の生活がカツカツなのに、いきなり40万円もする毛皮のコートを買うんですよ。リボ払いにすると、この金額はなかったことになるんだよって言いながら(笑)。 本当に大丈夫?って心配になるような振る舞いをしていたので、ファッションが好きな人って面白いなって思うことは多かったですね。 ーそうしたファッション業界の面白さや異様さを伝えるために、『ファッション!!』を描き始めたと。 これまでのファッション漫画はモデルさんやデザイナーさんの苦悩を描くものが多いですが、そうではない切り口ができるなら私にも描く意味はあるのかなと思いました。