最もカンタンに相手と距離を縮めるのは「失敗談」?感情を揺らせば信頼感は次第に高まっていく
◆自分の自己開示をきっかけに そして、相手は、 「本当ですよ!」 と意気揚々と答える。 そこですかさず、あなたは、 「どんなことがあるのですか?」 と質問を投げ、相手が話し始めたら、「それでそれで?」 と煽り、盛り上げていく「合いの手」の相槌を入れる。 この「それで」という言葉は、もっと先が聞きたい、という「興味」を表す言葉であり、相手は「自分の話に食いついてもらっている」と感じ、承認欲求が満たされる。 さらに、 「そうなんですね! それでどうしたんですか?」 こんなふうに前のめりに聞かれると、「たいしたことないんですが」と言いつつも続きを話したくなる。相手の感情を揺らしたはずが、いつの間にか自分の感情も揺らされている。 このように、自分の自己開示をきっかけに、相手の自己開示にも繋がった。
◆「安心」と「嬉しさ」 あとはしっかり、頷(うなず)きながら親身になって耳を傾け、相槌と質問を挟んでいけば、さらに2人は腹を割って話せる関係に発展する。 お互いに感情を揺らすコミュニケーションをとることによって、次第に信頼感が高まっていく。 もちろん誰しも自己防衛していて当たり前だと最初は大らかに受け止めよう。様子見の段階でいきなり膝を突き合わせて話してくれるほど、コミュニケーションは簡単ではない。 「聞く力」を発揮して、「肯定的な共感」の相槌を繰り返しながら会話を続けていけば良い。 人は、自分の話を丁寧に親身になって耳を傾けてくれる人に好感を持つ。 自分に自信がない人は「私になんて興味ないでしょうから、お時間をとらせたくありません」などと言うが、これは不安な気持ちの裏返しである。 人は、「そうなのですね」と承認されるたびに安心する。 また、「わかります」と言われるたびに嬉しくなる。 このような「安心」も「嬉しさ」も感情の一つ。相手の感情を動かすことができると、「この人なら話してみても良いかも」から「ヨロイを脱いでまずは話の席に着いてみよう」という態度に繋がっていく。 ※本稿は、『「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
下間都代子