“一般家庭”から「超エリート進学校」に進んだ女性が感じた格差の正体「イジメられすらしない」
今の仕事は本当に楽しい「一番幸せかも」
わかなさんは現在、プロとして数年のキャリアをようやく築いたところ。仕事について、こう振り返る。 「さまざまな鬱屈を抱えて生きる実社会の私では、言いたいことを口にできない局面をたくさん経験しました。けれどもお店で”わかなちゃん”という源氏名を与えられて、個室で男女2人、何も纏うことなく向かい合うことによって、ようやく心底の部分を打ち明ける“友達”になれるようにさえ思うんです。要するに、私にとって“匿名性”なんです。この仕事は本当に楽しいですよ。プレイ時間は単にお客様に性的快楽を与えるだけの時間ではなく、自分という人間を知ってもらい、お客様の核心に触れられる大切な時間なんです。もしかすると、今が一番幸せなのではないかと思えるほどに」 プレイルームにいる裸の男女は互いに本名さえ知らない。それでも時折、誰にも打ち明けられなかった心の裡からぽつりと本音を交換し合う。 “友達”に焦がれ、叶わなかった学生時代。超越的な名門校を出て、性を生業にしていることを人は転落と呼び蔑むかもしれない。善良で行儀よく、上品に生きてきた自負のある人種からは顔をしかめられる行為によって、わかなさんは生かされている。だがその行為は、身体ではなく、孤独を埋め合わせる祈りに近い、途方もなく重い意味を帯びている。 <取材・文/黒島暁生> 【黒島暁生】 ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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