Wポスト紙のハリス氏支持見送り、偏向回避とベゾス氏-20万人解約か
(ブルームバーグ): 米紙ワシントン・ポストが米大統領選で特定候補への支持表明を見合わせる決定を行ったことについて、同紙オーナーでアマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏は、メディア業界を悩ます「クレディビリティーギャップ(不信感)」に対処するものだと説明した。
ベゾス氏は同紙ウェブサイトへの寄稿で、「ほとんどの人はメディアが偏っていると考えている。これが分からない人は、現実にほとんど注意を払っていない」と指摘した。
また今回の措置は、自身が設立した宇宙ベンチャー企業ブルーオリジンの経営幹部とトランプ前大統領が発表当日に会談したこととは無関係だと主張した。この会合はベゾス氏が知らない間に急きょ予定されたものだった。
「私はこの事実を知ってため息をついた。なぜなら、この件を原則に基づく決定以外の何かに仕立て上げたい人々にとって格好の材料になると理解したからだ」と言及した。
同紙発行人のウィリアム・ルイス最高経営責任者(CEO)は25日、1976年以降定期的に行ってきた大統領選の候補者支持表明を今後行わないと発表した。編集スタッフは、民主党候補のハリス副大統領を支持する草稿を準備していた。
この決定は同紙の内外で批判の嵐を巻き起こし、複数の編集者やライターが辞職。購読者の8%に相当する20万人が解約したと米公共ラジオNPRが伝えた。同紙の広報担当者はコメントを控えた。
ニクソン元大統領の辞任につながったウォーターゲート事件を報道した同紙元記者のボブ・ウッドワード氏とカール・バーンスタイン氏も決定を批判した。
同紙のマーティ・バロン前編集主幹は28日、NPRの取材に対し、支持表明を行わないという選択に反対するわけではないが、発表のタイミングが間違っていたと指摘。「今回の決定は投票日まで数週間以内という時期に行われ、編集委員会との実質的かつ真剣な協議もなかった。確固たる信念でなく、他の理由から下された決定であることは明らかだ」と語った。