“いきあたりばったり”の矢野采配で阪神がワースト勝率「.067」…5回は対大島に盤石継投も10回は岩崎温存のチグハグ継投
「加治屋のカットボールは、右打者には逃げるように変化して有効だが、左打者には向かってくるボールなので見極めも対応もできる。この日はフォークも少しスライダー回転をしていた。立浪監督が一死二塁で最初の代打に左の根尾を選んだのも9回の加治屋のピッチングの内容を見ていたのかもしれない。加治屋を回跨ぎさせたとしても京田に二塁打を浴びたところで、岩崎投入でよかった。最悪、最も当たっている大島のところでは交代だったと思う。ベンチがプランを固めきれていないように見える」 池田氏は、5回の継投に伏線があったという。 矢野監督は5回二死二塁で大島を迎えたところで、代替先発だったのにもかかわらず、ここまで、わずか2安打に抑えていた小川から岩貞にスイッチしたのだ。小川の球数はまだ66球だった。岩貞は大島をセカンドゴロに仕留め、盤石の継投策は成功したが、池田氏は、こう指摘した。 「好投の小川を代えたのは盤石の継投だったのだろうが、それならなぜ10回は同じ状況で盤石の継投をしなかったのか。後ろが苦しい状況だからこそ、先発を1イニングでも引っ張っておくべき。この継投のしわ寄せが、最後にきたとも言える。もし岩貞をここで使っていなければ、延長10回の大島のところで起用できただろう」 つまりベンチの采配のブレだ。新型コロナの激震の影響は小さくないが、指揮官が迷走しては泥沼のトンネルを抜け出すことはできないだろう。 1日で元に戻した打線もふるわず4試合目の完封負けを喫した。 先発の勝野はストレートが走り、素晴らしいピッチングだったが、阪神はノーチャンスだったわけではない。1回の立ち上がりに二死三塁の先制機を作ったが、4番の佐藤は148キロの外角ストレートにスイングアウト。6回一死からは、近本が四球を選び、2番の中野は3球待ったが、近本は単独盗塁を仕掛けずベンチも動かなかった。結果、フォークを引っかけての併殺打。矢野監督が掲げた「オレたちの野球」はどこへいってしまったのか。 池田氏は、阪神に必要なものをこう説く。 「私は順位予想で阪神を優勝にした。まだ143試合の16試合が終わったにすぎない。巻き返しのチャンスは十分にあると思う。今、緊急整備しなければならないのは、中継ぎと抑えのポジションを明確にすることだろう。力量と調子の見極めが重要になってくるが、いきあたりばったりが最悪で選手側も戸惑う。課題はたくさんあるが、まず投手陣を後ろから整備することを優先すべきでメンバーはいると思う」 今日14日も当初先発予定だった藤浪も新型コロナの陽性反応でメンバーを外れ中継ぎに回っていた桐敷が2度目の先発マウンドに上がることになった。対する中日は、右のエースの柳。3日の広島戦では完封勝利をあげており、今の阪神打線の調子では援護は期待できない。桐敷がどこまで踏ん張れるかがカギを握る。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)