40代を過ぎると仕事が減る?美魔女かババアの二択?若さ礼賛主義の社会で考える年齢を重ねるということ
若さが自分から離れていく、漠然とした焦りと不安
今『9ボーダー』※(TBS系)というドラマが放送中ですが、私も今年が20代ラストイヤー。「若い」とは言われるけど、20代前半の子たちと話すと明らかにジェネレーションギャップを感じます。自分から「若さ」が離れていくような気がして、漠然と不安になることがあります。さらに、「女にはタイムリミットがある」という言葉は嫌と言うほど耳に入ってきて、若さこそ価値がある、みたいなエイジズムが自分の意識を侵食してくる感覚がずっとあります。今回は、「年齢を重ねること」を考える2冊を紹介したいと思います。 ※19歳、29歳、39歳…と各年代のラストを指した造語。19歳、29歳、39歳の三姉妹の生きる姿を描く。 1冊目は、雨宮まみさんの遺稿を書籍化した『40歳がくる!』(大和書房)。 雨宮さんが40歳で亡くなる前に書かれた連載をまとめたもので、未発表原稿も収録されています。まず、目に飛び込んでくるのが帯の文言。 いつまでも若い人でいたいわけじゃない。もうババアですからと自虐をしたいわけでもない。私は私でいたいだけ。私は、私のままで、どうしたら私の「40歳」になれるのだろうか。(『40歳がくる!』より) まだ私は一応20代ですが、この感覚、分かる気がするんです。若さに執着したいわけじゃない。若者だとか中年だとか、お姉さんだとかおばさんとかじゃなくて、「私のまま」でいたい。でも、それってどうしたらいいんだろう。 読んでいてヒリヒリするような、本音がぎゅっとつまった本作。自分がもう若くないという確かな実感の中で、世の圧力や固定観念に押されながらも、自らの欲望に真っすぐであろうとする著者の心理描写が胸に迫る一冊です。
歳をとったら美魔女かババアの二択?!
若いときは「若いね」で済むけど、歳を取ったら異様に美しい美魔女かババアみたいな選択肢しか用意されていなくて、過剰に褒めるか不当に年齢や見た目のことでけなされるかの道しか待ってなくて、「普通の40歳」っていうのは、ないんだろうかと思い始めた。(『40歳がくる!』より) ここを読んだとき、わかるうううううっと、腹の底に響きました。ネットには「ババア」という言葉が溢れていて、なぜかババアと言えば女性の自尊心を傷つけられる、一発パンチでダメージを食らわせられる必殺技と思われている。なんでそんなに歳をとっていることが引け目を感じることみたいになっているのか不思議です。誰だって生まれた瞬間から老いていくのに。芸能人の見た目を褒める主旨の記事で、「20代にしか見えない」「奇跡の50代」みたいな文言をよく目にしますが、4~50代に対して「20代にしか見えない」って果たして褒め言葉なのか、謎です。年相応で美しいって絶対にあるはずなのに。 『40歳がくる!』の中には「『女の年齢』ってものに、いつまでつきあわされるんだろう?」という言葉が出てくるのですが、これも深く刺さりました。この社会って、普通に生きているだけで、「女の価値は若さ」みたいな強迫観念めいた刷り込みをされる気がするんです。自分が放っておいてくれと思っても、世間がわざわざ「お前はもう若くない」「身の程を知れ」と耳元で言ってくるんですよね。たまに窒息しそうになります。