40代を過ぎると仕事が減る?美魔女かババアの二択?若さ礼賛主義の社会で考える年齢を重ねるということ
「若い女性」に向けられる加害欲
若さゆえに不当に見下されたり、若い女であるがゆえに迫害されてきた不自由が、波を引くように去ってゆき、代わりに自由がどんどんやってくる。最高の気分だ。誰だかわからない世間の視線みたいなもののために自分を歪めたりしなくていいし、そんなことをしようという発想すら溶けてなくなる。(『40歳がくる!』より) 一方で、若いがゆえに、性的な目で見られたり、セクハラを受けることが減って、楽になった、これは本当によく聞きます。ネットで、女性が何か言うと、「相手にされなくなったおばさんのひがみだ」みたいなことをすぐに言う人がよくいますが、変に性的な目で見られたり強引にアプローチされたりするのって、恐怖でしかなくて、そういう“得体の知れない加害欲”みたいなものから解放されるって、いいことでしかないと思うんです。若い女性というだけで、日常的にナメられて加害されて、なんでこんな目に遭わないといけないの? みたいなことの連続で。もちろん年齢を重ねてもそういうことは完全にはなくならないでしょうが、ひとつの生きづらさから解放されるのは大きなことである気がします。
「40代になると仕事がゆるやかに減る」という定説
そして2冊目は、『50歳になりまして』(光浦靖子、文藝春秋)。 人気芸人として名を馳せる中、50代にしてカナダへの留学に挑戦し、人生を全力で謳歌する姿が話題となる光浦さん。留学するために仕事を整理し、家を引き払った矢先、コロナ禍に見舞われ、路頭に迷うことになった過程を描いたエッセイです。 こちらも、年齢を重ねて生まれる変化が赤裸々に綴られています。 40代に入った頃からかな? 仕事がゆる~りと減り始めました。テレビの世界に入って、一度も手を抜いたことはありません。なのに減るのです。流行り? 運? 好感度? 私は独身です。旦那も、彼氏もいません。わかりやすく私を必要としてくれる人が側にいません。年齢に比例して増えていく休み、そりゃ不安になりますよ。長い夜思っちゃいますよ。「私は誰にも必要とされていない」と。 (中略) 私は、この世界の物差ししか持ってなくて、仕事がない=価値がない、としか思えなくなってしまいました。自分に満足するもしないも、他人の評価でしか決められない。(『50歳になりまして』より) 「40代になると、ゆるやかに仕事が減る問題」。もちろん人や職種にもよりますが、フリーランスの間では本当によく聞く話です。どんどん若い人が参入してきて、目まぐるしく入れ替わっていく。仕事を発注してくれる人がどんどん年下になっていく。 でも、光浦さんは常に超人気者のイメージなので、この問題とは無縁の方だと思っていたんです。でも、やはり栄枯盛衰の激しい芸能界。波が引いていく感覚はやっぱりあるんですね。