「防衛力を5年以内に抜本強化」自民・岸田総裁会見7月11日(全文1)
総裁任期中に改憲実現を目指すのか
産経新聞:産経新聞の原川と申します。よろしくお願いいたします。先ほど総理は安倍元総理の思いを受け継いで、特に情熱を傾けてこられた憲法改正と拉致問題に取り組む考えを表明されました。また、防衛力の抜本的強化にも言及されましたけれども、これも安倍元総理が熱心に取り組まれたテーマであると思います。これらにどのように取り組むかについてお伺いしたいんですが、まず憲法改正です。今回の選挙でいわゆる改憲勢力が3分の2以上を占めました。先ほど総理は、国会での議論をこれからリードしていきたいという考えを表明されましたが、また、これまで総裁の任期中に憲法改正を実現するという考えも表明されています。選挙を終えた今もそういうお考えをお持ちであるかどうか。そしてその場合、総裁任期といいますとあと2年、約2年ですけれども、その中で改憲原案の発議と国民投票までどのようなスケジュールを考えておられますでしょうか。で、次の。 岸田:1つ目、はい。 産経新聞:はい。防衛力の抜本強化ですけれども、今回の参院選の公約ではNATO諸国の国防予算のGDP比2%目標という、これにも触れられた上で、来年度から5年以内に防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指すと公約されました。あらためてこの必要な予算の規模、これは具体的にどの程度お考えであるのかというのと、あとこの財源については、党内には国債で賄うべきだというお考えもあるようですけれども、この財源についてどうお考えか。そして最後に拉致問題、具体的にどのように取り組んでいかれるか。よろしくお願いいたします。
内容における3分の2の結集をしっかり図りたい
岸田:まず1点目の憲法についてですが、自民党が掲げている4項目のたたき台素案、これはどれも現代的な、そして喫緊な課題ばかりであると認識をしています。こうした憲法の改正の議論、しっかりと進めなければならないと思っています。そして幸い先日の通常国会におきまして憲法審査会の議論、今までの国会のありようと比べても、かなり活発な議論が行われた、このように受け止めています。ぜひこうした雰囲気を受けて、次、臨時国会を本格的に開催するということになったならば、議論をしっかりと引き続き盛り上げていきたいと思っています。 そして憲法改正には、3分の2の賛成を得て発議を行わなければいけないわけですが、これは改正するかしないかに3分の2賛成するんではなくして、具体的な内容について3分の2の賛成を結集しなければいけない、こうしたことであります。今申し上げた国会での議論をしっかりと前に進めていく中で、内容における3分の2の結集をしっかり図っていきたいと思います。そうした取り組みを進めることによって、できる限り早く発議に至る、こうした取り組みを進めていく。そしてそうした議論を進めることが、国民の皆さんにとりましても憲法改正についての理解を深めるチャンスになると思います。こうした国民の皆さんにおける理解の促進と相まって、結果、憲法改正にたどり着く、こうした道のりをしっかりと示していきたい、このように思っています。 2点目の防衛力についてでありますが、予算あるいは財源についてもご質問ありましたが、これは従来から申し上げているように、いわば内容と予算と財源、これは3点セットで考えなければいけない。そもそも内容については、年末までに国家安全保障戦略、新たな国家安全保障戦略を策定する作業等を進めていく。その中で内容、あらゆる選択肢を排除せず、今この厳しい安全保障環境、あるいは科学技術の進歩の中で、具体的に国民の命を守るために何が必要なのかをしっかりと議論し、それを積み上げていく。まずそれを行った上で、それに見合う予算をしっかり確保していく。そしてその予算の額に応じた財源というものを考えなければいけない。この中身と予算と、そして財源、これは3点一体となって、年末に向けて議論を進めていく、このように申し上げています。この考え方に基づいて、年末に向けてその3点、具体化して明らかにしていきたいと考えています。 【書き起こし】自民・岸田総裁会見7月11日 全文2に続く