JICDAQ認証企業を介したデジタル広告取引、アドフラウド発生率が大幅低減|JICDAQ23年度活動報告
活動初年度末となる2021年12月には、認証制度への登録事業者は109社を数え、59社が認証を取得した。
続く2022年12月には登録事業者164社、認証事業者132社に増加。イベント当日の最新値では、登録事業者は187社、認証事業者は156社へとさらに拡大している。関係企業の間で認証制度への理解が進む中で、広告枠の買い付けを行う広告会社が、認証を取得するケースが目立つと中島氏は明かす。
また情報発信強化の一環として、2023年11月1日にWebサイトのリニューアルを実施。JICDAQ認証の制度説明に関する情報を増やした。さらに登録者専用ページも新たに設けており、調査レポートなども公開していきたいという。
JICDAQ認証企業を通じた広告取引で、アドフラウド発生率が大幅低減
気になるのが、JICDAQの活動が本当にデジタル広告取引の品質向上に役立っているかどうかだ。この点についてJICDAQではモニタリングやアンケート調査を実施しており、その結果が中島氏から公表された。 モニタリング調査におけるJICDAQの定義では、広告会社から媒体社までの取引フローにおいて、JICDAQ認証事業者が2社以上介在したものを「JICDAQ商流」と定義している。デジタル広告不正監視ツール「アドベリフィケーションツール」の提供企業の4社によると、この「JICDAQ商流」における2023年1月~6月にかけてのアドフラウドの発生率は以下だ。 ・A社…0.6% ・B社…0.5% ・C社…4.2% ・D社…2.4%
アドベリフィケーション事業者が公表しているベンチマーク値のうち、アドフラウド未対策時の発生率で最も高いケースは11.0%とされる。「JICDAQ商流」における発生率はこれを大幅に下回っており、中島氏も「広告主がJICDAQ認証事業者をお選びいただく価値が証明されたのではないか」と胸を張った。
しかし、こうして“広告を提供する側”で対策が進む一方で、“広告を出す側”には、デジタル広告取引の品質課題に対する理解が広がっていないという。広告業界団体の加盟企業に対するアンケートの結果によると、アドフラウドをはじめ「無効トラフィック」問題の認知率は広告会社・媒体社・仲介社では概ね80%以上であるのに対し、広告主では57.0%に留まった。ブランドセーフティについても同様で、広告関連事業社側の認知率が90%以上だが、広告主は78.5%だった。