JICDAQ認証企業を介したデジタル広告取引、アドフラウド発生率が大幅低減|JICDAQ23年度活動報告
海賊版サイトと広告不正の実情は? CODA代表理事が解説
イベント後半では、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の代表理事である後藤健郎氏が、権利侵害コンテンツとデジタル広告不正の関連について、最新動向を解説した。なお、JICDAQ認証の取得にあたっては、CODAが作成している「著作権侵害に関する要警戒リスト」の活用が条件の1つになっているという。
CODAは映画、アニメーション、放送番組、音楽、ゲーム、出版などの製作を手がける企業31社が会員として名を連ねており、コンテンツの正規流通促進、つまり権利侵害コンテンツへの対策を権利者や法執行機関などとも協力しながら展開している。
コンテンツの不正流通の態様はさまざまだが、不正コンテンツの配布サイトやリーチサイト(いわゆる海賊版サイト)においては、デジタル広告を掲載して収益化を図るのが常套手段となっている。広告主も無関係ではない。万一、海賊版サイトへ自社の広告が表示されてしまうと、ブランドイメージが毀損するのはもちろん、海賊版サイトの運営者へ広告費というかたちで金銭を供与することにもつながってしまう。デジタル広告を出稿する以上、広告担当者は海賊版サイトなどの動向などにも目を配っておかねばならないのだ。
コンテンツの権利侵害対策については以下のような問題があると後藤氏は説明する。 ・国によって対策に温度差がある ・支払い手段として仮想通貨(暗号通貨)を利用し、完全に匿名でサーバーを運用したり、ドメインを取得したりできる ・「ISD(Illicit Streaming Device)」という、世界各国のテレビ放送をストリーミングで無料視聴できてしまう不正機器が横行している
これらの問題は、日本での被害拡大も懸念されているという。
こういった問題に対して、CODAでは、動画配信プラットフォーム事業者に対して権利侵害コンテンツの削除要請を着実に行う一方で、2021年4月には「CBEP(国際執行プロジェクト)」にも着手した。エシカルハッカー(道徳的・倫理的に悪意を持つハッカーからの攻撃を防ぐ活動などを行うエンジニア)らと協力しながら、SNS上でオープンにされている情報などを元に権利侵害案件の運営者の特定を行うもので、各国の警察なとども広く協力しているのが特徴だ。