JICDAQ認証企業を介したデジタル広告取引、アドフラウド発生率が大幅低減|JICDAQ23年度活動報告
この背景には、人手や予算の不足以上に、課題に対する知識の不足が大きいというのが中島氏の分析だ。アンケートでも「会社や部署として具体的にどう取り組めば良いのかわからない」「課題についてよく理解している人がいない」と回答した広告主の割合は、媒体社などと比べて高い傾向だった。
JICDAQ認証企業への発注が、不正防止の第一歩。広告主にも活動アピール
広告主側がデジタル広告の品質課題に対して認知率が低いという現状に対し、JICDAQでは、「登録アドバタイザー」の制度を運用している。 「登録アドバタイザー」制度とは、JICDAQの取り組みに賛同した広告主企業がこの制度に登録すると、JICDAQがセミナーやメルマガによる情報提供などを行い、安心・安全な広告出稿をサポートするという制度だ。登録すると「登録アドバタイザー」として社名がリストに掲載される。 この制度には一般消費者向け製品を手がける大手企業を中心に、11月1日の段階では129社が登録。「登録アドバタイザー」に対して、JICDAQ認証事業者への広告発注を強く推奨している。 この「登録アドバタイザー」に対して行ったアンケート調査では52社が回答。デジタル広告の取引にあたってJICDAQ認証事業者への発注状況を聞いたところ、37%が「発注先は認証事業者のみ」との結果だった。「特段の事情がない限り、発注先は認証事業者のみ」などの回答も含めると、合計89%の企業がJICDAQ認証を意識しており、広告関連企業が認証取得する意義は年々大きくなっている。
┌────────── デジタル広告の発注実績について聞いたところ、登録アドバタイザーの実に90%が、『認証事業者への発注実績割合が9割以上』と答えている。JICADAQ認証を意識するだけでなく、実際の発注にも影響を与えている(中島氏) └──────────
デジタル広告の品質課題は根深く、広告主ができる対応策は限られる。しかし“JICDAQ認証事業者を選定すること”自体が対応策の第一歩となるのだ。今後JICDAQでは、「登録アドバタイザー」の増加にも広く取り組みたいとしており、専門誌への広告掲載など、広報・コミュニケーション活動を強化していくという。