結局、今の日本はバブルなの? 「3つの要素」に注目すると…乱高下つづく日経平均
7月11日の東京株式市場で日経平均株価が最高値を更新、終値が初めて42000円台に到達した。それから1カ月も経たない8月5日、日経平均株価はマイナス4451円という、1987年の“ブラックマンデー超え”の大幅下落に見舞われた。その後、株価は回復基調だったが、9月4日には今年3番目の下げ幅であるマイナス1638円で取引を終えるなど、不安定な動きを見せている。日米の金融政策の行方や、紛争の相次ぐ世界情勢など、景気の先行きが見通せない今こそ参考にしたいのが「バブル崩壊の歴史」だ。 【グラフを見る】意外な事実 バブル崩壊の7年前、企業の倒産件数が急増 ※記事の一部は『帝国データバンクの経済に強くなる数字の読み方』(三笠書房)を参考にしています。 ***
「バブル」には語源となる事件があった
そもそも、「バブル」とは何なのか。 「日本では1991年の地価や株価の大暴落を指し、漠然と使われる“バブル崩壊”という言葉ですが、実は“バブル”には経済理論上の正確な規定があります」 そう解説するのは、帝国データバンク情報統括部の藤本直弘氏だ。 「バブルとは泡を意味する言葉ですが、経済理論では“実際の資産価格”と“ファンダメンタルズ価格”の差のことを指します。ファンダメンタルズとは、経済の基礎的条件のこと。バブルとは平たく言うならば“通常の経済事情では説明のつかない資産価格の高騰”のことです」(藤本氏) 「バブル」には、語源となる事件があるそうだ。 「1720年にイギリスで起きた『南海泡沫事件(サウス・シー・バブル事件)』が由来となっています。この頃、イギリスでは南海会社が公債引き受けの見返りに自社株の発行を乱発し、中産階級を中心に空前の投機ブームが起こりました」(同) 南海会社の株価は短期間に10倍に高騰し、その投機熱につられ“泡”のように怪しい会社の乱立が続いたという。 「投機ブームの終盤には『それが何であるかは誰も知らないが、偉大な利益になる企てを行うための会社』という名の企業が設立されたほどです。しかし、そのブームの結果、多くの会社が経営破綻しました。こうした事態を受け、英国政府は1世紀以上にわたって株式会社の設立を禁ずる法律を制定したものの、長らくイギリス経済の発展に深刻な打撃を与えることになりました」(同) 当然、株を購入した人々が破産に追い込まれ、多くの人生設計が狂ったことも付言せねばならない。