アメリカン・マッスルカーも遂にEVの時代へ ダッジ・チャージャーがフルモデルチェンジでEVを設定
2ドア、4ドアをチャージャーに一本化
ステランティス傘下のアメリカ・ブランドである「ダッジ」が北米で新型「チャージャー」を発表した。マッスルカーと呼ばれる高出力スポーツ・モデルで、従来モデルでは4ドア・セダンのチャージャーのほかに、2ドア・クーペの「チャレンジャー」が設定されていたが、新型では両モデルがチャージャーに統合され、同じ車名を掲げることになった。 【写真80枚】ついにEVをラインナップすることになったアメリカン・マッスルカーの定番モデル、「ダッジ・チャージャー」。2ドアと4ドアの両ボディが用意される伝統と新しさを上手に盛り込んだエクステリアをはじめ詳細画像をチェック ◆EV対応の次世代プラットフォームを採用 新型の目玉は初の電気自動車=バッテリーEV(BEV)モデルの設定だ。車体にはステランティスの次世代モデル向けプラットフォーム、「STLAラージ・プラットフォーム」を初採用。駆動方式は全モデルが4WDになる。ちなみに、ダッジは2022年に「チャージャー・デイトナSRTコンセプト」という電動マッスルカーを披露している。 ◆システム出力670ps ダッジ初のBEVは、469psの「チャージャー・デイトナR/T」と、最高出力670psを誇り、0-60mph(0-96km/h)加速を3.3秒でクリアするという俊足ぶりを誇るハイパフォーマンス仕様である「デイトナ・スキャットパック」の2機種。 注目のBEVモデルには400V推進システムが搭載され、スーパーチャージド(機械式過給器付き)V型8気筒の性能に相当するという。同推進システムには、高電圧バッテリー・パック、デュアル・インテグレーテッド・チャージ・モジュール、フロントとリアの電気駆動モジュール(EDM)が組み込まれている。 ◆航続距離は最長510km EDMは「3-in-1アーキテクチャ」と呼ばれる、インバーターとギアボックス、モーターで構成。フロントEDMにはフロント・ホイール・エンド・ディスコネクトが採用され、航続距離と効率を向上させ、リアEDMには機械式リミテッドスリップ・ディファレンシャルが搭載され、トラクションと走りを向上させる。前後のモーターはどちらも335ps(250kW)と407Nmのトルクを発生。なお、「ダッジ・チャージャー・デイトナ」には、車両性能を最大化する「ダイレクト・コネクション・ステージ・キット」を標準装備している。同キットを作動させると、15秒間40psのパワーアップが可能となる。 航続距離は「チャージャー・デイトナR/T」が510km、「デイトナ・スキャットパック」は418km(米国EPAサイクル)となっている。 ◆直6でエンジンを踏襲、V8はナシ また新型チャージャーにはBEVに加えて、従来モデル同様、ICE(内燃機関)仕様も控えている。「シックスパックH.O.」、「シックスパックS.O.」と呼ばれる2タイプの3.0リッター直6ツインターボで、残念ながらマッスルカーの定番ユニットだったV8は用意されない。H.O.はhigh Output(高出力)の略で550psを発生。S.O.はStandard Output仕様で420psとなる。 ◆マッスルカーらしい迫力は健在 外観もマッスルカーらしい迫力に満ちている。フロントに「Rウィング」と呼ばれる特許出願中の意匠を採り入れることで、オリジナルの「チャージャー・デイトナ」のデザインを継承しながら、ダウンフォースを強化。さらにヘッドライトとテールランプの中心には、次世代車の新しいシンボル・ロゴが点灯。ヘッドライトにはダッジのロゴがさりげなくレーザーでエッジ加工が施されている。 ◆往年のモデルをモチーフ 1968年式のダッジ・チャージャーにインスパイアされたというインパネは、先進的でモダンな仕立てになっている。10.25インチもしくは16インチになるクラスター・スクリーンに加えて、12.3インチのセンター・ディスプレイはドライバー側に傾けられている。オプションでヘッドアップ・ディスプレイも選択できる。またナビゲーションの充電スポット機能には、目的地に到着するために充電が必要かどうかを通知し、ルート上にある充電ステーションを提案する機能も含まれている。 シートはファブリックもしくは人工皮革が標準装備され、シートヒーター付「ブラック・ナッパレザー・シート」、「デモニック・レッド・ナッパレザー・シート」などのオプションも設定される。ハイバック固定ヘッドレスト・シートは、「プラス パッケージ」、「トラック パッケージ」、「カーボン&スエード・パッケージ」に含まれている。 ◆アクティブ・サスペンションを設定 サスペンションはフロントにマルチリンク式を採用。高剛性化によりコーナリング性能を向上させたほか、耐久性やダイナミクス、ハンドリング性能のアップにも寄与するという。4リンク式のリア・サスペンションはステアフィールを高めるために最適化され、高速コーナリング時のボディ・コントロールを向上させるチャージャー独自のジオメトリーが採用されるなど、パフォーマンスを重視した設計になっている。 加えて、「チャージャー・デイトナ・スキャットパック・トラック・パッケージ」にオプション設定されるアダプティブ・サスペンションは、デュアルバルブ(コンプレッション=縮み側用、リバウンド=伸び側用)が搭載され、従来型の3倍の処理速度を持つボディの加速度センサー、4倍に達するホイールハブ加速度センサー、4倍の車高センサーが搭載され、減衰力の最適化を行うことで悪路でのスムーズな乗り心地、各ドライブモードでのパーソナライゼーションの幅を広げている。 タイヤはグッドイヤー・イーグルF1をはじめ、フロント305、リア325幅で、20インチ・ホイールと組み合わされる。さらに、ダッジ史上最高を謳うブレーキ・パッケージを用意。16インチのブレンボ製ベンチレーテッド・ローターとレッドのフロント6ピストン&リア4ピストンの固定キャリパーから構成されている。 ◆ライン・ロック機能も選べる 走行モードは、「オート」、「エコ」、「スポーツ」、「ウェット/スノー」、「トラック&ドラッグ」(チャージャー・デイトナ・スキャットパックにのみ標準装備)から選択が可能。「トラック」は滑らかなドライ路面で最大限の車両性能を発揮し、「ドラッグ」はクローズド・コースでの使用が想定され、発進性と直線加速を最大化できる。 加えて、「デイトナ・スキャット・パック」専用の新しい「ドーナツ」モードと「ドリフト」モードのほか、人気の「ローンチ・コントロール」や前輪をロックし後輪を回転させて発進前にタイヤをクリーンにしウォームアップする「ライン・ロック」の復活、バッテリーを加熱する時間を確保することで多くのサーキット走行時間を確保できる「レース・プレップ・オプション」など、従来以上にオプションの充実化も図られている。 生産は、2ドアのBEVが2024年の年央、4ドアのBEVと2ドアの高出力版直6、4ドアの標準出力版直6が2025年第1四半期から開始される予定だ。 文=塚田勝弘 (ENGINE WEBオリジナル)
ENGINE編集部
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