体操・白井健三は、なぜ連覇を逃したのか
中国の南寧で行われている体操世界選手権の種目別ゆかで11日、昨年の金メダリスト・白井健三(神奈川・岸根高3年)が15・733で銀メダルとなり、連覇を逃した。優勝は15・750点のデニス・アブリャジン(ロシア)だった。 白井の演技構成は決勝に進出した8選手の中で最も難度が高かったが、団体予選でラインオーバーのミスをしたのと同じ4本目のシリーズの連続技で再びラインオーバーのミスを犯し、結果的にこのミスによる0・1点の減点が響いて2位にとどまった。 17歳で世界チャンピオンになってから1年。若く、まだ成長過程にある白井が銀メダルにとどまったのはなぜか。来年の世界選手権、さらには2年後のリオデジャネイロ五輪で再び金メダルを手にするためには何が必要か。 電光掲示板に採点が映し出され、アブリャジンに0・017点及ばなかったことを確認すると、白井は何とも言えない表情を浮かべ、少しだけ目を潤ませた。 だが、表彰式では金メダルに輝いたアブリャジンと笑顔で握手をし、優勝を称えた。団体決勝で中国に敗れ、「負けた気がしない」と納得のいかない表情を見せていたのとは明らかに違っていた。 「ラインオーバーをしなければ勝てると思っていたが、その通りになってしまい、悔しい。でも、ミスしても2番になったので、そこはすごく幸せだと感じている。自分の力が足りなかったと結果を受け止め、また頑張っていきたい」。白井はさばさばしていた。 ミスをしても勝てるほど甘くないということは分かっていた。昨年は、決勝進出8人の中でDスコア7点台の選手は、7・4の白井ただひとり。2番手の選手とは0・5点も離れており、少々のミスをしても圧倒的なDスコアにものを言わせて勝てるという状態だった。 しかも白井はそのうえでミスのない演技を披露。Dスコアで差をつけてスタートを切り、新技を含めてミスのない実施をこなし、逃げ切り勝ちを収めるというスタイルで、金メダルに輝いた。 けれども今年は8人中4人がDスコア7点台で決勝戦に乗り込んできた。戦いのレベルが確実に上がり、小さなミスが勝敗を分ける状況へと変化していた中、連続技でラインオーバーのミス。さらには最後の「シライ/ニュエン(伸身後方宙返り4回ひねり)でも着地が乱れた。