ミシュランが選ぶ108軒のホテル&旅館「ミシュランキー」日本版!3つ星、2つ星は?ディレクターに聞く評価法
唯一無二な旅の伴走者、宿泊施設のキュレーターを目指す
ミシュランが新たにホテルセレクションを設けるにあたって、最も大切にしたのは「旅の利便性ではなく、どんな体験ができるかを重視したキュレーションを行うこと」。例えば、筆者も旅が大好きで、行く予定がなくても旅行記事を眺めたりホテルや航空会社のサイトで宿泊料金や航空運賃を調べたりすることがよくあります。かつての机上旅行はいまではスマホを指先でたぐる想像の旅になりましたが、楽しいのは変わりません。そんな時、ホテルサイトにアクセスして得られる情報といえば、部屋の広さやアメニティー、館内のファシリティー、そしてなんといっても金額です。もちろんそれらはとても大切な情報です。しかし、「あと1室!」「期間限定!」という性急なキャッチフレーズや情報がなんと多いことか。 ビジネスで赴くのであればそれもアリかもしれませんが、癒しを求めたり好奇心を満たしたりするための旅を考えている時なら、もっと知りたい情報があるはずです。素晴らしい建築を誇るとか館内の至るところでアートが鑑賞できるとか、「そこでしか体験できないことは何か」が「ミシュランキー」では丁寧に記されており、レストラン版と同様に最上級より3ミシュランキー、2ミシュランキー、1ミシュランキーという位置付けがされています。 <写真>おなじみの「星」に、客室、ひいては未来への扉を開く「鍵」を添えてモチーフにしたのが「ミシュランキー」のロゴマーク。今後、このロゴが記された盾が日本のホテルや宿のロビーに飾られることになるのは必至。
専任のトラベルガイドが語りかけるような優しさ、頼もしさ
今回3ミシュランキーを獲得した「ホテル ザ ミツイ キョウト」を例にとって見てみると、評価欄の冒頭には「ビューポイント」として下記のようなコメントがありました。 「ユネスコ世界遺産に登録された二条城の真向かいに建つ300年以上の歴史ある門をくぐると、素晴らしいラグジュアリーコレクションホテルがゲストを迎えます。京都市中心部にある敷地から湧き出す温泉を備えた唯一のラグジュアリーホテルは、香港に拠点を置くアンドレ・フー率いる日本のアーティストと建築家のチームによるデザイン。視覚だけでなく五感すべてを楽しませ、それだけでも京都を訪れる理由には十分です」(一部抜粋) その上で、他のホテルガイドにあるような必要情報はしっかり明記されていて、サイトから直接予約までワンストップで行えるのも今回ミシュラン社がこだわった点だといいます。 <写真>2020年に開業した「ホテル ザ ミツイ キョウト」は、この街ではまだ新顔。ミシュランキーの審査員が訪れたことに、スタッフは誰も気がつかなかったという話です。