【中学受験】「進学先の悪口を言う母親にはなりたくない」連続不合格を経験した2月。役立ったのは自分の親への葛藤体験
「母親からの言葉がいまだに傷として残っているので…」
おおた お父さんもお母さんの気持ちは痛いほどにわかっているだろうけれど、それがうっかりぽろって出ちゃったときにお子さんの心にどんなに深い傷を負わせてしまうかわからない。 鳥井 そうなんですよ。私が結構そうで、母親から言われたことがいまだに傷として残っているので。 おおた えっ!? 鳥井 「あの学校に行かせなければよかった」って。「行かせないってどういう意味?」っていまでも思ってるんですけど。 おおた そんなご経験がお母さん自身にあったのですね。 鳥井 はい。自分で希望して受けて、第一志望で合格してるんですけど。だからといって別のどこの学校に行けと言われたわけではなくて、私が選んだ学校が、キワモノが多い変な学校だと、母親は偏見をもっていて。 おおた どういうことですか? 鳥井 私は公立小、公立中から、県立のA女子に行きました。 おおた A女子ですか。超名門校じゃないですか。たしかに個性的ではありますけど。 鳥井 当時、多感な時期の私がたびたびきつい言葉で母親に食ってかかったのは、あの学校のせいだと思っていて、ことあるごとに言ってくるんです。先月も両親と大喧嘩しました。そういうとき、だいたい夫が仲裁役になってくれるんですけど、先月は、喧嘩のあと母から夫に、育て方を間違えたみたいなメッセージが届いていました。 おおた お母さんのお母様としては、とんがった女子が集まる学校じゃなくて、共学の穏やかな環境でいわゆる女性らしく、控えめに、一般社会に適応した形で育つのを望んでいたわけですよね。でも、娘がA女子に合格したといったら、普通の親は鼻高々になりますよね。 鳥井 当時は塾のチラシに私の合格体験記も載りましたし、ご近所のひとたちからも「すごいね」って言われるので、鼻高々のくせに、私には嫌みを言うんです。「あのころのお姉ちゃんは怖かった」って、妹にも言われますけど。 おおた それは鳥井さんにとって必要な戦いだったんでしょうね。でもその戦いがまだ終わっていないという……。 鳥井 娘にとって、そういう親にはなりたくないなと思っています。 おおた お母さん自身が親御さんとの葛藤を強く経験されていて、それがどれだけ嫌なことかをいちばんよくわかっているのに、娘につい言いたくなってしまう自分がいるってところに、「私、何やってるんだろう?」みたいなお気持ちもあるでしょうし。 鳥井 娘には絶対にあの表情は出さないようにしようみたいなのがありますね。 おおた それができたんですから、すごいことですよ。 鳥井 せっかく進学した学校の悪口を母親が言い続けて、中1の1学期で退学しちゃったという話も以前聞いたことがあって、それは子どもがつらいだろうなと。それだけはしちゃいけないと、自分に言い聞かせました。まだ子どもだから、親が舵取りをする場面はあると思いますけれど、それが結果的に悪い舵取りだった場合、その人生を生きていくのは子ども自身なので……。 おおた 愛情ゆえに、親は勝手に責任を感じてあれこれやるわけですけど、結局のところ、子どもの人生に対する責任はとれないわけですからね……。