来年2月開催?代替試合?「オミクロン株」余波で延期となった村田対ゴロフキン、井岡対アンカハスの2大ビッグマッチの行方は
「私個人としては今回の事は真に自分の人生を愛するための試練だと受け止めております。あくまで『中止』ではなく『延期』であること、楽しみにしてくださっている皆様に、心よりの御礼とお詫びを申し上げ、ご報告とさせていただきます」 ファンに愛されている好漢は、あまりに過酷な試練と誠実に向き合おうとしている。まったく無責任ではあるが「頑張れ、村田!」とエールを送ることしかできない。家族の元に帰り、自然と触れ合い、一度、気持ちをリセットすることも大切だろう。 一方の井岡陣営もリリースには「中止」と書かれていたが、実際は「延期」であり、アンカハスサイドとスケジュールの練り直しの協議に入った。井岡のビッグマッチの事情が村田と異なるのは、地上波のTBS系で放映されるという点にある。これが10度目の大晦日マッチとなる井岡は、視聴率という数字を持っているボクサーである。TBSサイドは、新型コロナ禍で開催される世界戦だけに、最悪のケースを想定して、代替え番組を用意していたというが、局として大晦日の顔である井岡の登場を簡単にあきらめきれないという事情もある。 延期となったアンカハス戦が、いつ行われるかによって可能性は変わってくるが、対戦相手を国内ボクサーに切り替えて、WBOのベルトの防衛戦を行うという選択肢も残されている。 幸いなことにWBO世界同級6位で、WBOアジアパシフィック、日本の2冠王者である福永亮次(35、角海老宝石)が対戦を熱望している。 11月に返上したが、OPBF東洋太平洋のベルトも持っていた実質の3冠王者で 19戦15勝(14KO)4敗の高いKO率を誇るアンカハスと同じサウスポー。“リトルパッキャオ”の異名を持つ。 来年1月15日に後楽園ホールで日本同級9位、WBOアジアパシフィック同級12位の中村祐斗(24、市野)と対戦することが決まっているのがネックで調整が必要になるが、試合に向けての準備には問題はない。 だが、悲願の統一戦をやっと実現しようとしていた井岡は、延期となったアンカハス戦以外は視界にない。もし大晦日に福永と防衛戦を行えば、最低でも3か月は、間隔を空ける必要があり、そのことでアンカハスとの統一戦のタイミングを失うことにでもなれば悔やんでも悔やみきれない。 井岡陣営もアンカハスとのスケジュールの再調整に全力を尽くす方向。現時点で対戦相手を国内ボクサーに切り替えての防衛戦は、あくまでも選択肢の一つという段階で、何も具体的には動いておらず、TBSサイドからの正式な打診もないという。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)