ボクシングの年末2大世界戦が「オミクロン株」の影響で延期…村田対ゴロフキン、井岡対アンカハスの両陣営が正式発表
プロボクシングの年末に予定されていた2つのビッグマッチの延期が3日、決定した。スポーツ庁が両陣営に政府の指針を通達したもので、帝拳ジム、志成ジムがそれぞれ発表した。 今回延期となったのは、12月29日にさいたまスーパーアリーナで開催される予定だったWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(35、帝拳)対“世界ミドル級最強”のIBF世界同級王者、ゲンナジ―・ゴロフキン(39、カザフスタン)の“世紀のビッグマッチ”と、大晦日に大田区総合体育館で予定されていた4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32、志成)対IBF世界同級王者、ジェルウィン・アンカハス(29、フィリピン)の統一戦の2試合。 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が世界的に急拡大している状況を受けて、政府が11月30日午前0時から外国人の新規入国を禁止する水際対策を敢行したため、両選手及びレフェリー、ジャッジなどのオフィシャルが予定通りに入国できなくなった。 両陣営共にボクシング版“バブル”を作るなど万全の感染予防対策を用意してスポーツ庁に「公益性」を認めての特例措置を求めていたが、9日から大阪で開催予定だったフィギュアスケートのGPファイナルも中止となり、ボクシングの2つのビッグマッチに対する外国人入国の特例措置も認められなかった。加えて「オミクロン株」の新型コロナウイルス感染症陽性者が国内でも確認されたことを踏まえた感染対策強化を優先した。 村田は5回TKOで勝った2019年12月のスティーブン・バトラー(カナダ)戦以来、約2年間、試合ができておらず、2020年には、水面下で試合が組まれていたが、正式発表を前に新型コロナの影響で6度も流れていた。今回ゴロフキン戦に向けてメキシコ人パートナーを呼びスパーリングを重ねており「過去最高の調子の良さ」を維持していただけに陣営ではコントロールできない政府の決定とはいえ悔やみきれない延期となった。 一方、井岡にとってもアンカハスとの試合は悲願の統一戦だった。先月25日に行われた会見では、「素直に嬉しい。アンカハスとできなければ統一戦はないと思っていたので、実現できたことにビックリする気持ちと“来たな”という気持ち。この試合しか考えていなかった。あとは僕が結果を出すだけ。勝つ自信はある」と興奮気味に語っていた。それだけにショックは大きいだろう。 リリースによると村田ーゴロフキン戦は「延期」、井岡ーアンカハス戦は「中止」と書かれていたが、両陣営共に「延期」を望んでおり「オミクロン株」の感染状況を慎重に見極めながらスケジュールの練り直し協議に入りたい意向だ。 なお12月14日に両国国技館で行われるWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者、井上尚弥(28、大橋)の防衛戦は、挑戦者のIBF同級5位のアラン・ディパエン(30、タイ)がすでに来日しており予定通りに行われる。