【チャンピオンズC】池江泰郎氏 坂井君が磨いてきた腕と闘志も評価されていい
【池江泰郎 匠の解説】G1の勝者と2着では大きな違いがある。馬体を並べてのゴールに写真判定となったが、ジョッキーは意外と勝ったか、負けたかを分かっていることが多い。事実、確定前にレモンポップの坂井君はウイニングランに導きファンの前で手を挙げていたし、ウィルソンテソーロの川田君は早々と地下馬道に導き引き揚げていた。結果、両者の光景通りの着順。有終の美を飾り、さぞ陣営は感動と感激で胸がいっぱいだろう。祝福と称賛の嵐に値するフィナーレだ。 そんなことがあるのか?と不思議に思ってしまうが1~3着馬が昨年と同じで勝ち馬の決まり手も昨年と同じ逃げ切り。逃げ、と追い込みで脚質が正反対の2頭で2年続けてのワン・ツー決着。能力が一枚上だからこそ、と認めれば納得はいくが、それでもG1の舞台では極めて珍しい。 ゴール前の攻防に視点をあてよう。ホースマンは無論、競馬をよくご覧になっている人であればご存じだろうが、ゴール前で急追する態勢に入ったウィルソンテソーロ。鞍上・川田君の強烈な追いっぷりは加速的に伸びてくるのが彼の持ち味。その追いっぷりと一体になったウィルソンテソーロの逆転劇か!?と一瞬は思ったが、レモンポップがギリギリしのいでみせた。だから凄い。その勝因に坂井君が磨いてきた腕と闘志も評価されていい。 語り継がれるようなダート最強馬、これぞ横綱!感傷的になりがちな引退式を現場で見届けた人は最高の満足度に浸ったと思う。(スポニチ本紙評論家)