【ABC特集】「母親に手をあげた」「警察に通報された」家庭崩壊の危機を福祉現場が支えた 国内4万人を超える強度行動障害 受け皿が足りない現実
(Aさん)「(コーヒー豆をひく)ゴリゴリ」 (利用者)「オー、すごい!」 (職員)「(手を叩く)」 自宅で暮らしていた頃、100キロを超えていた体重は、今は72キロになりました。以前は職員に対して手を上げていたそうですが、ずいぶん減ったといいます。 (作業所の施設長 田中亮功さん)「不安や緊張がすごく高まってしまって、(職員を)叩いたりつねったり噛んだりしていたと思うので。今の姿が(彼の)本来の姿だと思います」
「いつまでショートステイに滞在できるのか」
自宅を離れ、山直ホームのショートステイで暮らし始めて、1年と7ヵ月。心身ともに安定しているAさん。問題は、「ショートステイにいつまで滞在できるのか?」ということ。「ショートステイ」は、あくまでも短期の入所施設です。いつまで滞在できるかは、Aさんの自宅がある「自治体」が決めるのです。
もしショートステイにいられなくなり、自宅に帰ることになったら・・・ (叶原施設長)「(家と)切り離して安定した生活をしているので、元の生活に戻るとそれ以上のストレスがかかる」「荒れるといいますか、大変な状況になるのではと」
Aさんの両親は、息子がずっと住み続けることができる入所施設やグループホームを探していますが、「Aさんの障害が極めて重い」などの理由で受け入れ先がありません。 (叶原施設長)「家族さんは『心配で心配で、不安で不安でしょうがない』と」「(ショートステイの)制度が不安定なので・・・『ショートステイが打ち切られたらどうしよう?』という不安は、常についてまわっていると思います」
4万人を超える強度行動障害の人たち 「受け皿が足りない」現実
Aさんのように、強度行動障害がある人の『受け皿が足りない』現実。大阪府だけでなく、全国で深刻な問題になっています。 (Aさん)「アハハハ」 (職員)「調子出来てました。やっと」 厚労省はAさんのような強度行動障害の人が、少なくとも4万人いると報告しています。しかし、障害がある人の暮らしの実態や、支える家族の苦悩は、あまり知られていません。 (『newsおかえり』2023年11月16日放送分より)