【ABC特集】「母親に手をあげた」「警察に通報された」家庭崩壊の危機を福祉現場が支えた 国内4万人を超える強度行動障害 受け皿が足りない現実
『強度行動障害』。自閉症の人などに表れる二次障害で、自分を傷つけたり、物を叩いたりするなど激しい行動がみられます。 以前は、両親と自宅で暮らしていましたが… (叶原施設長)「お母さんに他害行為があったり、近隣の人から通報されることもありまして」「家で、(Aさんを連れて)ずっとドライブを家族さんがしていた」
Aさんが自宅から通っていた障害者の作業所と、母親との連絡帳。壮絶な日々が記されています。 「ドライブ7時間」 「ドライブ6時間(18:00~0:00)」 「ドライブ→ 眠る→起きる→食べる→ドライブ」
Aさんは、毎晩、“車に乗りたい”と訴え、叶わなければ、母親に手を上げていたといいます。 (福井副施設長)「長い時は24時間。(Aさんが)落ち着くまで、車の中でお母さんとマンツーマンで過ごすと。お父さんは仕事があるのでドライブを代われない。『すごく困っている』と」 食欲が止まらず体重は100キロを超え、思い通りにならないときは、お皿を投げて割るなどして、手をつけられませんでした。両親から相談があり、2022年4月、山直ホームのショートステイで受け入れたのです。
自宅を離れ、規則正しい生活が始まった
(水が流されるノイズ) トイレに入るやいなや、すぐに水を流し…窓の外を見ては、また水を流すAさん。“こだわりが強く、同じ行動を繰り返す”。Aさんの姿に、自閉症の人の特性が、表れています。
山直ホームでの暮らしが始まった頃、Aさんは職員に「ドライブに行きたい」と訴え、生活のサイクルも乱れていました。しかし、心も身体も、暮らしのサイクルも、徐々に落ち着いてきたといいます。 (叶原施設長)「悪循環(になる)場を変えると」 (記者)「(互いに)離れるということが、家族にとっても本人にとっても大事?」 (叶原施設長)「そうです。そうです。それが、お互いにとって。行き詰まってしまうので」「まずは健康な生活をしていく、普通の生活をしていく」