【ABC特集】「母親に手をあげた」「警察に通報された」家庭崩壊の危機を福祉現場が支えた 国内4万人を超える強度行動障害 受け皿が足りない現実
(福井副施設長)「ごはんが終わったら次は歯ブラシ。(日中の)仕事が終わったら、お風呂。お風呂の後は、晩ごはんと。本人にとって、分かりやすい日課が安心感につながる」 自宅から切り離し、シンプルで規則正しい暮らしを徹底したことが、落ち着く“きっかけ”になりました。
(作業所職員 小林里美さん)「やろうか?昨日も頑張ったもんな」 この施設で、Aさんは作業をしています。給湯器の部品から銅線を取り出す、リサイクルの仕事です。 (小林さん)「眠たい?しんどい?休憩する?」 (Aさん)「(手を振る)」 (小林さん)「頑張る?そうか、すごいな。やるんや」
自宅から通っていた頃は、作業が手に付かず、椅子に座り続けることさえできませんでした。 (小林さん)「はい(Aさんに銅線を渡し)、ふんわり入れて、そうやそうや、すごいすごい、バッチシ!」 (Aさん)「(はにかんだ表情)」 (小林さん)「これ、いけるか?」 (小林さん)「(以前は)ずっと寝てたときもあったんですけど、少しずつ時間をかけて変わった。『頑張れた』という言葉は、よく分かっていて、うれしそうやな」
このインタビューの直後でした。 (小林さん)「あー!!飲まれた」 Aさんは別の人のお茶を取って、飲んでしまいました。
(小林さん)「『ごめん』『ごめんなさい』って。飲みたいときは、ちゃんと言ってください。あるから」「教えてな。教えてな。人のお茶を取らないで。あります。取らないでください」 (Aさん)「(うなずく)」 集団生活のルールがより身につくように、注意すべき時に、しっかり声を掛けるようにしています。 (小林さん)「何をしたらいいかということも、わかってると思います。『頑張っているよ』という、自分を肯定する言葉も受け止めていると思いますし・・・会話は出ないけど、いろんな思いは持っているし」