〝口コミ〟頼りに注文するビアバーが東京・渋谷に限定オープン、キリンとヤッホー初コラボ
キリンビールは4日、資本提携するクラフトビール大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と共同で、東京・渋谷に期間限定の「クチコミで味わうビアバー」をオープンすると発表した。大量生産される大手のビールに比べて飲む機会の少ないクラフトビールを提供する。注文の際は商品名ではなく、店内に貼られた各ビールの特徴が記載されている「口コミ」を頼りに、番号で注文する方式を採用。クラフトビール初心者でも親しめる工夫を盛り込み、需要の最盛期を迎える12月にクラフトファンを増やす狙いだ。 ■飲む機会少ないクラフトビール 地方の小規模醸造所などが製造するクラフトビールは、それぞれの味の個性と多様性の広がりが魅力だが、大手が大量生産するビールに比べ価格が高く、ビール愛飲者向け商品とのイメージが強い。キリンによると、クラフトビールは生活の充実を求める価値観を持った人がメーンターゲットで、約1600万人の潜在需要があると分析する。同社クラフトビール事業部の大谷哲司部長は「生活充実欲求者にクラフトビールを飲んでもらうには、良質な飲用体験が必要だ」と訴える。 一方で、ヤッホーが実施した調査によると、クラフトビールを飲むきっかけで最も多かった回答が「第三者からのおすすめ」だったことが判明した。同社エール営業部門の宮越裕介統括ディレクターは「クラフトビールは分かりにくい商材なだけに、第三者のおすすめが飲用の動機づけにつながりやすい」と分析。クラフトビール需要の開拓に向けて〝口コミ〟の重要性を強調する。 ■自分の口コミも掲示できる 両社初のコラボレーションとなるビアバーは、若年層のクラフトビールを飲む機会を増やすため、「心躍る、クラフトビールとの新しい出会い」をコンセプトに設計した。店内では、キリンの「スプリングバレーブルワリー」「ブルックリン・ブルワリー」と、ヤッホーの「ヤッホーブルーイング」「銀河高原ビール」の各醸造所が製造する計9種のクラフトビールを提供する。ビールの商品名を明示したメニューなどは用意せず、専門店やビールメディア編集部などクラフトビールの有識者から集めた360の〝リアルな口コミ〟を店内に掲示し、各商品の味わいや特徴を紹介している。 客は、その口コミを参考に、飲みたいと思った特徴が明記された商品の番号カードをカウンターに持っていき、料金を払うと、ビールとともに各商品名が記載されたチラシや注文したビールのシールなどが同封された「答え合わせキット」を受け取ることができる。また、キット内の口コミシールに自身が飲んだビールの感想を記入し、店内の壁に貼ることで、新たな口コミを掲示することもできる。
店舗の場所はJR渋谷駅近くの「ZeroBase渋谷」で、オープン期間は4~8日。価格は1杯500円(300ミリリットル)。適正飲酒や多くの人に楽しんでもらいたいという観点から、1人1杯までの提供としている。期間中に約3400人の利用を目指す。同イベントと連動し、全国のスーパーなど250店で両社のクラフトビールを取りそろえた売り場づくりも展開する。