【損切りの賢い使い方】損益通算、繰越控除で節税しよう “塩漬け株の売却”で確定した利益に対する税額も抑えられる
損失は3年間繰り越しできる
損益通算しても、まだ引ききれない損失がある場合は、「繰越控除」を使って節税できます。たとえば、今年、100万円の損失が残れば、翌年2025年から2027年までの3年間繰り越せます。 たとえば、2025年に50万円の利益が出た場合、繰越控除をしていない場合は、10万円の税額ですが、繰越控除をしていれば、繰り越した100万円の損失と相殺されて税額はゼロ円。さらに翌年に50万円の損失が繰り越されます。2026年に30万円の利益がでた場合は、繰り越した50万円の損失と相殺されて、またもや税額はゼロ円。2027年に20万円の損失が繰り越されます。2027年に100万円の利益が出た場合は、20万円の損失と相殺して、80万円の利益に対して20%=16万円の税額になります。 繰越控除した場合は、毎年確定申告をする必要がありますので、忘れないようにしましょう。
FXと株式は損益通算できない
国内のFX取引所を通じて、FXで利益が出た場合は、「先物取引に係る雑所得等」にあたり、税率は一律20%(所得税15%、住民税5%)。申告分離課税にあたるため、利益が出た場合は、確定申告が必要です。 複数のFX会社で取引を行っている場合と、同じ所得区分に属する日経225先物取引や、オプション取引とは損益通算が可能です。残念ながら、株式や投資信託の損益とは通算できません。損失の繰越控除は、株式と同様3年間行えます。
外貨預金と仮想通貨は同じ扱い
同じ為替差益による利益でも、外貨預金で得た利益は、総合課税の雑所得となり、会社員の副業の損失と損益通算できます。この場合、トータルの利益が20万円以内であれば非課税となり申告は不要ですが、20万円を超えれば、確定申告をして、給与所得などと合算して、累進課税の税率が適用されます。 たとえば、副業で50万円の利益が出ていて、外貨預金で為替差損が40万円出た場合は、損益通算で10万円の利益となり、確定申告は不要です。 じつは、仮想通貨の利益も、外貨預金の為替差益と同じく総合課税の雑所得にあたりますので、扱いは同様です。今年は、ビットコインが大きく上昇しましたので、所得が多い方が利益を確定してしまうと、最大で45%の税率がかけられることになります。 ちなみにビットコイン、リップル、イーサリアムなど、仮想通貨同士の損益通算は可能です。
今回のまとめ
・株や投資信託の損失は、損益通算や損失繰越で節税できる ・FXの利益は、株や投資信託とは損益通算できない ・外貨預金の為替差益と仮想通貨は損益通算できる 【プロフィール】 藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。
【関連記事】
- 《譲渡益と配当金で異なる扱い》米国株取引にかかる税金を解説 日米での「配当に対する二重課税」は確定申告で取り戻せる
- 【トランプ政権「閣僚人事」で注目の厳選12銘柄】イーロン・マスク氏、ビベック・ラマスワミ氏らの入閣で株価上昇期待の日本の電機メーカーや製薬企業の名前
- 「わざわざ株価が高くなりがちな権利確定月に買う必要はない」 億り人投資家が教える、株主優待銘柄の「買い時」「売り時」
- 【新NISA投資でのしくじりケース】大暴落でパニックに陥り全株売りの「損切りミス」続出 実質的に米国株集中投資の「オルカン」の一国偏重リスクにも注意
- 【2025年に日経平均5万円へ】トランプ再選でも「オルカンより日本株のほうがはるかに魅力的」 武者陵司氏が語る“株価上昇の牽引役となる注目セクター”