パリの「観光地価格」は高すぎる。26歳以下の若者は優遇されるも、強気な「二重価格」に批判の声
「観光客の多いところには行かない。混んでるし、高いから」。これは、パリに住むフランス人がよく口にする言葉です。外国人旅行者であふれる日本の観光地でも、同じ考えを持つ人が増えてきているのではないでしょうか。 【写真を見る】フランスにある「便座がないトイレ」
◆パリの価格設定は、「観光地の雰囲気」そのものへの付加価値を含む
フランスの首都パリは、世界で最も美しい都市の1つと言われています。確かに、セーヌ川沿い一帯には世界遺産に登録されるほど壮麗な光景が広がっていますし、凱旋(がいせん)門やエッフェル塔、ルーブル美術館といった歴史的建造物も、街の至る所に点在しています。 しかし、そうした観光名所の周辺では、カフェやレストランでの価格が非常に高く設定されています。場所によっては、コーヒー1杯が8ユーロ(約1300円)に達することも。飲み物込みのランチ代が30ユーロ(約4890円)を超える場合も少なくありません。これには高額な家賃や人件費、そして「観光地の雰囲気」そのものに対する付加価値が含まれています。
◆フランス人も避けるパリの観光地
観光地価格で有名な場所といえば、凱旋門から広がる「シャンゼリゼ大通り」が挙げられるでしょう。高級ブティックや高級レストランがずらりと立ち並ぶ、パリでも1、2を争う人気観光スポットです。 しかし、2024年にオープンしたシャンゼリゼ大通りの「カフェ・ド・ラ・ローズ・ランコム」では、デザート1品と飲み物のセットがなんと21ユーロ(約3420円)に設定されていました。また、エスプレッソ1杯の価格は6.5ユーロ(約1060円)と、パリ郊外の一般的な価格(1杯2ユーロ、約320円)と比べて3倍以上にもなります。 こうした値段設定は、ルーブル美術館やエッフェル塔、ノートルダム大聖堂付近でも同様です。観光地としてのブランド力、旅行者からの需要の高さが価格を押し上げているのでしょう。さらに一度訪れた観光客は短期間でその場を離れるため、高価格でも消費する傾向があります。パリの観光地では、この「一期一会」的な需要をターゲットにした価格戦略が取られています。 これらの場所を徹底的に避けているのが、現地で暮らすフランスの人々です。そもそもの賃料・食費が高くついてしまう場所なので、旅行者と同じ消費行動はできません。外食する場合は、旅行者の少ない「観光地から外れた店」に通う人が多いようです。