パリの「観光地価格」は高すぎる。26歳以下の若者は優遇されるも、強気な「二重価格」に批判の声
◆文化的格差をどう埋めるか
フランス社会はこのように、不公平・不平等な物事に対してとても敏感に反応します。そのため、世界一の観光地として名をはせるパリであっても、本格的な「二重価格」の導入は難しいと言えるでしょう。現時点では、「26歳未満のEU市民は無料」とする待遇がメインのようです。 つまり当面は、ルーブル美術館のように「払える人が払う」という形が取られるのだと思います。ただ、それによって国民の社会的・文化的格差がさらに広がる可能性も否めません。 幸いなことにフランスでは、一部の美術館や博物館の入場料が、毎月第一日曜日は無料に設定されています。これはフランス国民、定住外国人、旅行者に関わらず全ての人が利用できるものです。文化的格差を広げないためには、こうした文化イベントに自ら飛び込んでいく積極性、情報収集力が必要かもしれません。 この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
大内 聖子