島村洋子「57歳での脳梗塞から3年、お茶碗を持てるように。体が自由に動かないことで〈イライラ焦っても結果は変わらない〉と悟る」
2021年10月、居酒屋から帰宅した島村洋子さんは突然左手足が動かなくなり、救急搬送された。脳梗塞だった。このまま外に出られなくなったら…という恐怖を抱えてリハビリに励み、杖を頼りに外出を心がける。丸3年経ったいまの心境を綴ってくれた * * * * * * * 「57歳で起きた脳梗塞、左半身が麻痺。利き手でない左手の役割を改めて知る。杖をついて外に出たら、人の優しさも自らの傲慢さにも気づいた」の記事はこちら ◆身を守り相手に理解してもらうための杖 あれから丸3年、現状は日常生活はまあまあひとりで大丈夫になっている。 機会があれば励みにもなるし学ぶヒントもあるだろうなら他の方の話も聞いてみたいが、とにかく病気というのは人によって、あるいはケースによって千差万別で、自分の場合が重いのか軽いのかもよくわからない。 なんとか歩けてはいるが、踏ん張りがきかないために方向転換しようとすると、何かの弾みにすがに尻もちをつきそうになる。 自分の体を支えるためもあるが、前から来る「歩きスマホ突進隊」から身を守るため、また「私にぶつかると転ぶのでお互い危険ですよ」と相手に理解してもらうために杖をいつも持っている。 「転ばぬ先の杖」とは例えではなく、実際に起こるであろう予測のための慣用句なのだなと実感している。 左手の握力がまだ弱くて手すりを持ちづらく、左側には立ちにくいので、エスカレーターでは右に立つことになる。やはりみんな右側(東京では)で歩かず、じっと立つようにしてほしいと思う。 エスカレーターを駆け上がっても目的地への到着時間はそんなに変わらないと思うし、別に病気や怪我をしていない人でも、単純に危険だと思うからだ。
◆できないことは増えたが、なんとかやれている 血液サラサラ薬やらなんやら薬も8種類程飲んでいて、本来ならばしょっぱいはずの涙が苦い。 刺される度にこんなケミカルな味がする血を吸って蚊は大丈夫なのだろうかといらぬ心配をしてしまうくらいだ。 飲み物はこぼさないけれど唇の左側は痺れていて感覚が曖昧で、もしかするとこぼれてるんではないかと常に気になるし、長く正座していた時の足のようにいつも左腕がジーンとしている。 すぐに言葉が出てこない時は、これは単なる老化なのか後遺症なのかと考えるが答えは見つからない。 カバンはすべて肩掛けタイプかリュックになったし、ヒールのある靴やかかとが固定されていないサンダルのようなものは履けない。 できないことは増えたが、もともと不器用なのでまあこんなものだろうと思うようにしている。 お茶碗が持てない時期も長かったが、今ではなんとか持てている。
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