島村洋子「57歳での脳梗塞から3年、お茶碗を持てるように。体が自由に動かないことで〈イライラ焦っても結果は変わらない〉と悟る」
◆焦っても結果はほとんど変わらない 本来、雑な人間なのでゆっくり丁寧に物事をこなすことも逆に良いのではないか(「早くしなさい!」などと親は子供を急かすけど「丁寧に確実にやりなさい」と言うほうがのちのち良いのではないか) と思うようになった。 ようやく歩けるようになった頃、リハビリの担当者に、 「島村さんは本当はせっかちなタイプなんですね。ずっとおっとりした方なのかと思っていました」 と言われたりもした。 そうなのだ。 私はせっかちなのだ、大阪弁でいうところの「いらち」というやつで常に内心、焦っているし、いつも前のではなく横の信号を見ていた。 しかしこうなってみるとエスカレーターを駆け上がっても結局何分も変わらないように、イライラ焦っても結果はほとんど変わらない。 むしろ焦った分、雑になっているのではないか。
◆「諦め」や「悟り」ではなく「自然」 子供がいろいろなことを習得していくのとは逆に、老化というものは習得したことを次々と手放していくことに似ている。 それを「退化」と思うのか、「新たなステージに進んでいる」と思うのかはその人次第であるが、泣こうが喚こうができないことは間違いなく増えていく。 ならばできないことを少なくするように心がけ、できることを確実にやっていくしかない。 これを「諦め」と考えるのか「悟り」と思うのか、これもまた人それぞれだと思うが、私はこれを「自然」と考えることにした。 そして自分のことばかりではなく、もっと困っている人を見かけたら、さりげなく協力したいとも思っている。
島村洋子
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