矯正治療で歯を「抜く・抜かない」の判断基準は? 抜歯が必要な理由やメリット・デメリットを解説
矯正治療で抜歯するどんなメリット・デメリットがある? 納得のいく治療を選択するためのヒント
編集部: 矯正治療で必要とはいえ、できれば「歯は抜きたくない」という方も多いと思うのですが、抜歯をすると具体的にどのようなメリットがありますか? 鈴木先生: 自分の骨格に対し、無理のない位置に歯が並べられるのが一番のメリットです。例えば、抜かずに非抜歯で治療した場合、無理に歯列を広げて歯を動かすと歯ぐきが下がったり、歯が骨からはみ出てしまったりすることがあります。 また、歯が外側に傾斜して上下の噛み合わせがズレてしまうことも少なくありません。矯正治療で抜歯するメリットはこのような不具合を避け、その骨格にとってバランスの良いところに歯を並べることができる点にあります。 編集部: 今ある自分のあごの大きさに無理なく歯が並べられるということですね。そのほかに、メリットはありますか? 鈴木先生: 非抜歯治療に比べて、移動させる歯の本数が少なくすむのもメリットの1つだと思います。例えば、出っ歯(上顎前突)を非抜歯で治す場合、14本すべての歯を後方へ移動させる必要があります。 そうすると治療期間が延びてしまうほか、歯ぐきの退縮や歯根の吸収といったダメージも大きくなります。このような場合に抜歯を適応すると、後方に移動させるのは前歯部の6本だけなので、非抜歯よりも治療の負担が軽減できる可能性があります。 それ以外にも審美面が改善されるということも大きなメリットです。E-ラインという横顔のバランスの指標がありますが、口元が突出している場合には、歯を抜くことで口元を後退させE-ラインを審美的に良好なバランスにすることができます。 編集部: 反対に、矯正治療の抜歯にデメリットはないのでしょうか? 鈴木先生: 歯を抜くことによる心理的負担は、患者さんにとってはデメリットといえるかもしれません。また、歯列が少し狭くなるので、患者さんによっては舌が窮屈に感じる方もいらっしゃいます。 編集部: 抜歯の必要性について納得いくまで説明を受けるためには、どのような点に注意 したらよいでしょうか? 鈴木先生: 治療に入る前に検査を受け、その結果を踏まえた、根拠のある治療計画を聞くことが大事です。歯と骨の関係、歯の安定性、期間、歯だけでは無く横顔の審美面の変化など、抜歯・非抜歯それぞれのメリット・デメリットを事前にしっかり伝えてもらうこと。 それだけでは分かりづらい場合は、先述した、専用のソフトによるシミュレーション結果を見ることなど。その説明を聞いたうえで、わからないことは質問し、必ず自身で納得できる方法を選択していきましょう。