築64年の平屋建て団地“天空の廃墟”に申し込み殺到、その圧倒的な「魅力」団地が借りたい人が夢見ているもの
例えば、アトリエや工房などとして使える空間は世の中にはそれほど多くはなく、しかも好きにDIYでき、好きなように使えるとなるとほとんどないと言ってもいいほど。加えて音を出してもいい物件はレア中のレアだ。ところが、月見台ではそれらがすべて叶う。 店舗も同様だ。高い保証金を出さなくても、ここなら住宅なので礼金、敷金1カ月ずつからで自分らしい店を始められる。 住戸は広さ30㎡弱から37㎡の2DKで店舗などとして使えるのはそのうちの2分の1の面積まで。家賃は6万~7万5000円(税別)、管理費は5000円(税別)でけっして広くはないが、副業、複業などを試みるには手頃なサイズ。住みながら始められるのでうまくいかなくても店舗を別に借りることに比べるとハードルははるかに低い。
また、敷地内に58戸がまとまっている点も心強い。すべてが店舗などになるとは限らないが、少なくとも孤軍奮闘でないことは確か。ある程度の数が集まっていればそれだけで人が集まってくるようになるはずだ。 空間の豊かさとそれが生む緩さも魅力。車の入ってこない広い敷地内では子どもが自転車で遊んでいても、道路でお絵描きをしていても安心だし、住宅同士が離れていることもあって都市の住宅街のようにあれをしちゃいけない、これもダメなどといった厳しいルールはない。
「訪れた方からは『子どもの頃に住んでいた団地を思いだした』という声を聞きました。今、申し込みされているのは30~50代が中心ですが、彼らにとって団地はノスタルジックな存在なのかもしれません」 ■賑わいすぎていない「ほどよい距離感の場所」 駅からの道のりを含め、それを不便と感じていない人も多い。現地は自然が近く、高い建物がないため、空がとても広いなど都心から1時間圏とは思えない風情だが、実際のところは坂を下りていけば駅があり、東京駅や成田空港までの直通便もある。少し南に行けば商業施設も揃っている。