築64年の平屋建て団地“天空の廃墟”に申し込み殺到、その圧倒的な「魅力」団地が借りたい人が夢見ているもの
「暮らしながら働く人を対象に考えました。具体的には緩くブロック分けをしてテイクアウトを中心とした飲食店、工房やスタジオ、古着やレコード、アンティーク家具などのショップ、広い庭を活かした農業やパーマカルチャーを意識した店舗などを配することを想定。夏から現地でイベントを開催するなどして募集を開始しました」とエンジョイワークス事業企画部の髙才ゆきさんは話す。 入居自体は2025年4月~7月になる予定で、現地を訪れても見られるのはエリアの自然環境と改修前の手の入っていない状態の住戸だけだ。だが、今年7月と9月に行われたイベントにはそれぞれ120人と170人が主に都内近郊から参加。11月初旬までに52戸中45戸以上の仮入居申し込みが入っており、中には2戸続きで借りたいという人もいる。
現時点ではレザークラフト、陶芸、菓子工房、カフェ、古着店、バイクのメンテナンス、古物商、フードトラック、整体、織物、金継ぎ、鮮魚店、私設図書館、子どもの居場所など、入居を希望する人のやりたいことは多様の一言である。 しかも、申し込んだ人たちの熱量の高さは担当者も驚くほどだ。 「駅からの距離や不便さなどへの質問を想定していたのですが、その点についての事前の問い合わせはゼロ。また、仮申し込みした人たちには週に1回、公式LINEグループで進捗状況などの情報を発信しているのですが、そこに返信してくる人がとても多く、双方向のやりとりになっています。皆さんの“参加している感”、ポジティブさは私たちが関わる他の事業ではなかなか見られないほど。非常に期待されていることがわかります」
■「こういうのを求めていた」 ある意味、こうした物件を待っていたという人たちが集まっているのである。実際、現地を訪れた瞬間に「こういうのを求めていた」と言う人も少なくなかったという。では、どこがそこまで魅力なのか。 いくつか理由がある。1つはコロナ禍を経て暮らし方、働き方が多様化し、副業、複業や週末起業したい人、小さく独立したい人、在宅で働く人、好きなことに時間を割きたい人などが増えているのに対し、住宅はそれに追いついていないことがある。