仕組みも価値観もDIY スニーカーブランド「ヴェジャ」の“優しい”経営をパリで見た!
ストアマネージャーのミカさんいわく、スニーカー修理においては2つの寿命を延ばす必要がある。1つは物理的な寿命だ。例えば、人は靴を脱ぐ時にかかと部分を踏むため、レザーで補強する方がいい。修理した靴の方が新品よりも長持ちする。2つ目は感情的な寿命。履けば履くほどアイテムに愛着がわくと同時に、飽きも来るため、「クリーニングで新品に近づけることで、今持っている靴に対して好きな気持ちを長く持続できる」という。
ミカさんに店を営む中で意識していることを聞いてみると、「僕たちは自分が行きたい店を作っているだけで、『リペアが大事』などと訴えようとはしていない。サステナビリティを看板にするのではないからこそ、強いメッセージになってお客さまに届いていると思う」と返ってきた。
取材を終えて
「ヴェジャ」取材中、常に感じていたのは、社員や店舗スタッフたちの和気あいあいとしたムードだった。身近な人たちに優しくできない人が、地球や社会にも愛を与えられるはずはないと言っているかのようだ。ゆっくり、マイペースに歩む「ヴェジャ」に、刻一刻と変わるトレンドをキャッチしようと奮闘するファッション業界は学ぶことも多いのではないか。ないなら自分たちで作ればいいと始めた仕組みや価値観が輪になって広がり、業界のスタンダードになる日も遠くないかもしれない。