戦後77年でも終わらない不発弾処理 近年の年間処理件数は1000件台 #戦争の記憶
2020年度の陸上自衛隊による不発弾処理件数は1194件
各方面の人々に影響を与えた今回の不発弾処理。しかし、全国では今年、沖縄県や愛知県、静岡県などでも行われるなど、めずらしい出来事ではありません。 防衛省の統合幕僚監部が2021年9月に発表した資料によると、2020年度の陸上自衛隊による不発弾(爆弾、砲弾、銃弾など)処理件数は1194件、処理重量は約22トンでした。47都道府県のうち、処理件数・重量とも最も多いのが、太平洋戦争末期に地上戦が行われた沖縄県。処理件数は全体の約43%、処理重量は約58%を占めています。
不発弾処理は今後も続く見込み
なお、陸上幕僚監部監理部は「米国製の不発弾の割合については、不発弾の製造国別の統計をとっていないことから、お答えすることは困難」とメールで回答してきましたが、地中の不発弾探査業務などを行っている日本物理探鑛に聞くと、日本国内で見つかる不発弾はほとんどが米軍のものとのことなので、陸上自衛隊の処理する不発弾についてもほぼ同様と思われます。 統合幕僚監部の資料には、「記録のある昭和50年度以降、戦後の時間経過に伴い、処理件数・処理重量ともに減少」と記されています。ただ、資料に記されたグラフをよく見ると、2007(平成19)年以降の処理件数は毎年1000件台で推移しており、近年に限れば減少というよりも横ばいに見えました。 不発弾処理はいつまで続くのでしょうか。同部は「地中に埋没している不発弾の正確な数量を把握できないため、その処理の進捗や処理に要する期間についてお答えすることは困難です。しかしながら、全国で毎年不発弾が発見されている現状を踏まえれば、今後も継続的に発見されることが予想されます」と回答しました。
地中に残る数はわからず、いつまで続くのかわからない不発弾処理。これからも、時折地中から不発弾が姿を現しては、筆者を含め今や大半を占める「戦争を知らない子供たち」にもかつてあった戦争のことを思い起こさせるのでしょう。 (取材・文:具志堅浩二)