心地よい肌触りを科学する:ベルメゾン発の新素材「メルトロ」の挑戦
この独自の素材を使い、最初は寝具(布団カバー、敷きパッドなど)から販売をスタート。その評判は、チームの予想を上回るものだった。年を重ねるごとに徐々に商品の幅を広げていき、現在では、ラグやこたつ、着る毛布やガウンジャケットなど、さまざまなジャンルの商品を幅広く展開。どの商材においても、その心地よさやあたたかさを評価する声が数多く寄せられている。 価格や機能性ではなく、純粋に「気持ちいい」という感覚を追求する、その揺るぎない姿勢が今では冬のベルメゾンを代表するシリーズを生み出すこととなった。
こだわり抜いた生産工程が実現する至高の"なめらかさ"
製品の品質は、生産工程の細部に宿る。メルトロシリーズもまた、一つひとつの工程へのこだわりが、その品質を支えている。 生地生産の最終段階では、通常の製品よりも多くの仕上げ工程を重ねることで、独特の風合いを生み出している。しかし、その工程を支えているのは、特殊な設備ではないという。岡田さんは、その理由をこう説明する。 「生地を生産した後の最終工程では、従来品より多くの工程をかけることで、丁寧に仕上げています。設備に関しては、特別なものではありませんが、どの工場でもできるかというと答えはNOです。生産工場担当者の長年培われた技術や経験あってのものだと思っています」 品質の安定性を保つため、生産体制にも独自の工夫を重ねてきた。 「過去は年によって生産工場が変わっていたこともあり、どれだけ繊維や工程を指定しても『なめらかさ』が安定しませんでした。今は生地の生産工場を固定したこと、社内関係者の複数人のチェックを挟むことにより、安定性が高まっています」 そして、完成した生地は独自の品質管理工程へ。一般的な検品とは一線を画す、メルトロならではの基準で念入りにチェックされる。 「一般的な検品は当然行いますが、そのうえで『なめらかさ』のチェックが必要です。数値上の基準はあえてもっておらず、シンプルに『自分たちが気持ちいいと思えるか』が基準です。毎ロット生産のたびに、生地があがり次第、社内関係者複数人の目で気持ちいいと思える生地か? を厳重にチェックしています。チェックの際には基準生地を保管しているので、横並びで触って肌触りを確認しているんです」 工場担当者の職人技と、開発チームの感性。この2つが融合することで、メルトロならではの品質が守り続けられている。