心地よい肌触りを科学する:ベルメゾン発の新素材「メルトロ」の挑戦
冬の寒さを優しく包み込む、あたたかく、なめらかな肌触り。ベルメゾンが展開する「メルトロ」シリーズは、着る毛布やガウンジャケット、寝具まで幅広い商品展開で多くの顧客を魅了し続けている。 その特徴は、カシミヤよりも細い繊維を使用し、ボリュームたっぷりに編み上げた独自素材にある。2011年の誕生以来、「気持ちいい」という感覚を追求し続け、今や冬の定番商品として確固たる地位を築いているのである。 しかし、その開発背景や独自の製法については、これまで詳しく語られることは少なかった。 そこで今回は、メルトロの開発に携わる岡田 光司さんに、開発秘話とこだわりの製法について話を伺った。
独自素材が生んだベルメゾンの冬の定番
冬の部屋着や寝具選びで、多くの人が重視するのが肌触りだろう。しかし、メルトロ開発前の2011年当時、機能性や価格を前面に打ち出した商品は多くあったものの、心地よい肌触りにとことんこだわった寝具は、意外にも少なかった。 そんななか、ベルメゾンの商品開発チームで、ある提案が生まれた。岡田さんは当時をこう振り返る。 「毎シーズン、新商品の開発前に『やりたいことミーティング』という案出し会を実施しています。当時、ご好評いただいている秋冬向けの商品はたくさんありましたが、特に冬の部屋着や寝具に重要な肌触りに特化した商品はあまりありませんでした。 機能や価格以上に、とにかく自分たちが気持ちいい! と自信をもって推せる肌触りのものって作れないか? という案から、開発がスタートしました」 その決断は、素材選びの過程にも表れた。有名ブランドの生地や高級素材にこだわるのではなく、とにかく「気持ちいい」と感じられる素材を徹底的に探すことになったという。
「使用する素材や糸のネームバリューにこだわらず、国内外からとにかく大量の気持ちいい秋冬素材の生地を集めて、バイヤー目線で生地を厳選していきました。何度もチームメンバーで検討を重ね、最終的に、チーム全員が『これは気持ちいい!』と思える素材を採用しました」