中日根尾がブルペン目慣らしで禁断スイングしちゃった?!
中日のドラフト1位、根尾昂内野手(18)が7日、沖縄・読谷での2軍キャンプで初めてブルペンでの谷元圭介投手(34)のピッチング練習の打席に目慣らしで入った。試合を想定して1球、1球タイミングを取っていたが“エア打撃”に熱中する余り、思わず禁断のスイングを行い、周囲を驚かせた。この日は、練習メニューにダッシュと特守が加わり、また一段階ステップが上がった。2軍関係者の話によると、1日ずつ段階を経て練習メニューを増やし早ければ今クールの最後にも“リハビリ組”を卒業。14日からの第3クールで全体練習を消化する中で1軍昇格の可能性もあるという。
「すみません。手が出ちゃいました」
逸る心がそうさせたのか、それとも究極の集中力の証なのか。 ヘルメットを被り、右肘のプロテクターをつけた根尾は、ブルペンで谷元のピッチング練習の左打席に入った。 「立たせていただけるということだったので」 プロの投手のボールへの目慣らし。実戦さながら、1球、1球、右足を上げてタイミングを取りながら見逃していたが、その球数が30球に近づくあたりで異変が起きた。止まっているはずのバットが動く。なんとスイングしたのだ。もちろん、ボールとは、ずいぶん離れたポイントを軽く振り抜くスイングだったが、ブルペンの目慣らしでは、暗黙の禁止事項。 捕手を務めていたプロ17年目のベテラン、武山真吾(34)は、驚いた様子でジョークを込めて思わず叫んだ。 「危ないじゃないか!」 「どうも。すみません。手が出ちゃいました」 根尾が頭を下げると、武山も谷元もスーパールーキーの“禁断スイング”を笑顔で許し、読谷のブルペンが、どっと爆笑に包まれた。 「(試合で打席に)立っている同じ(感覚)でいて、出してみようではなく、出ちゃった感じです」 自主トレ中に右足のふくらはぎに軽い肉離れを起こしてキャンプは2軍スタート。しかも、リハビリ組の別メニューとなり、本格的な屋外でのフリー打撃はまだ行っていない。バットを持つのは、ティー打撃と室内でのマシン打撃だけ。早く投手のボールを打ちたいか?と聞かれ、「それはもう、ずっと思っています」。待ちきれない思いが、異例の禁断のスイングに走らせ、そして、緊迫したブルペンで集中力が高まり、一種の“根尾ワールド”に入り込み、ごく自然にバットを出させたのだろう。 マスク越しに武山は、そのタイミングの取り方から根尾の潜在能力を見破っていた。 「やっぱり雰囲気があった。舐めていたらやられる、警戒すべきバッターだなと思った。(マシン打撃を見ていると)パワーもある。バットがぱっと出てくるような」 武山は、「おまえ、このボールが好きなんだろ?」と捕手の習性で、根尾の傾向を探ったが、そこに“怖さ”を感じたという。さらに武山は「森みたいな感じがある。それくらいパワーがある」とも付け加えた。 武山は、西武時代に根尾の大阪桐蔭の先輩となる森友哉(23)のルーキー時代のバッティングを見てきたが、今季16本塁打をマークした左の強打者に根尾を重ねた。