福田、美馬がロッテ、鈴木に牧田も楽天移籍。もう巨人、阪神のブランドは通用しない時代になっているのか?
ソフトバンクの福田秀平のロッテ移籍が決定、国内FAの3選手の行き先がすべて決まった。楽天の美馬学がロッテに、ロッテの鈴木大地が楽天に落ち着いた。まだ海外移籍を希望している西武の秋山翔吾の動向が決まっていないが、このまま国内のFA移籍がパ・リーグのチームだけで終われば、2004年以来、史上4度目の異例の事態。しかも、今回は過去のFA獲得ランキング1位の巨人が美馬、鈴木の争奪戦に敗れ、“実質FA“のパドレスマイナーの牧田和久の争奪戦では、阪神が楽天に敗れた。もう巨人、阪神、或いはセ・リーグのブランドが通用しない時代へと突入したのだろうか?
巨人、阪神が争奪戦に敗れる異例事態
ロッテ、西武、楽天、ヤクルト、中日の5球団からラブコールを受けていた福田が選んだのはロッテだった。福田は、新人時代に当時、ソフトバンクの2軍監督だった鳥越ヘッドコーチの教えを請うたという経緯がある。今回、その鳥越コーチと井口監督の熱意ある説得に心が動いたようだ。またレギュラーでの出場を熱望していた福田にとって、ロッテの外野布陣の現状も魅力的だったのだろう。今季はレフトに角中、大きな故障なく結果を残した荻野がセンター、ライトを清田と途中入団のマーティンが主に守ったが、高齢化もあり、ライトのポジションを含めて外野は手薄で福田がレギュラー抜擢される可能性は高い。 ロッテは、楽天の美馬の獲得にも成功しており1993年のFA制度導入以来、初めてFA選手同時2人獲得に成功した。またロッテの鈴木も“トレード”のような形で楽天移籍が決まった。 今回のFA移籍の傾向で特筆すべきは、美馬、鈴木の2人に関しては、いずれも巨人がFA交渉に乗り出していながら、争奪戦に敗退したことだ。2013年から続いていた巨人のFA獲得は6年でストップ。過去のFA選手の獲得者数では、26人の巨人が2位のソフトバンクの13人、阪神の12人を引き離してダントツのトップ。だが「巨人が声をかければ選手は動く」の常識が覆ったのだ。 さらにメジャーマーケットでは“FA“となっているパドレスのマイナーでプレーしていた元・西武、牧田の争奪戦では、阪神が楽天に敗れた。メジャー挑戦2年目の今季はメジャー登板が1試合もなく主に2Aで登板したが、独特のサブマリン投法は健在。環境が日本に変われば戦力にはなるだろう。 もう巨人、阪神のブランドが通用しない時代になったのか。 阪神SEAとして今季まで活動していた掛布雅之氏は、このオフの流れについて、こんな見方をしている。 「巨人と阪神が声をかければ喜んでユニホームを着てくれる時代ではなくなったということでしょう。どこの球団の評価、条件も、そう変わらない時代となり、選手は自分の力を最大限に発揮できるチーム、環境を優先するようになったのだと思います。パ同士の移籍なら、まず野球の違いに戸惑うことはありません。また巨人、阪神はメディアも多く必要以上のプレッシャーがかかるというリスクがありますよね。特に巨人はチーム内競争も激しい。また阪神で言えば、鳥谷の一件のように一つ間違えば、あんな扱いをされるという不安もある。ブランドより実を取る時代になったのでしょう。交渉の中身は報道でしか知り得ませんが、楽天の石井GMは、牧田に関しても元西武という人脈があり、福田にしても鳥越ヘッドコーチとのつながりがありました。FAを決断した不満、そして移籍する先への不安を、そういう人間的なネットワークが解消してくれたのだと思います。巨人、阪神は、今後、FA戦略の調査や交渉方法を考え直していく必要があるのかもしれません」