福田、美馬がロッテ、鈴木に牧田も楽天移籍。もう巨人、阪神のブランドは通用しない時代になっているのか?
またFA移籍される側のランキングでは、西武の18人、日ハムの14人、オリックスの12人がトップ3を占めるように、これまでは「パからセ」が主流ではあったが、今オフの移籍は3人が共に「パからパ」への移籍となった。 過去にFA移籍先がすべてパの球団で終わったのは2004年以来、史上4度目の異例事態。この年は、メジャーを模索していた現侍ジャパン監督の稲葉篤紀がヤクルトから日ハムへ、近鉄の大村直之がダイエー(現ソフトバンク)へ移籍。阪神の藪がメジャー移籍したため、国内移籍はパへの2人だけに留まった。もう2例は、その前年に村松有人がダイエーからオリックスに移籍した例と、1997年に中嶋聡がオリックスから西武、山崎慎太郎が近鉄からダイエーへ移籍した例がある。 元千葉ロッテの野球評論家、里崎智也氏は、FA移籍について(1)「憧れのチームでプレーしたい」という夢追い型、(2)「競争や世代交代の激しいチームで控えに回るよりレギュラーとして評価されて試合に出たい」という出場機会優先型、(3)「前球団よりも高額年俸や複数年契約などを求める」ビジネス優先型の3つに分かれるという持論を持つ。 「今回のFA移籍を決めた3人は、このどれかに当てはまっていたのだと思います。あくまでも推測ですが、“巨人と同じ条件をウチも出すよ”と、ロッテ、楽天の条件は、巨人とそう変わらなかったのではないですか? そこが同じならば、選手は入った後に旧知の選手がいるなどプレーしやすい環境を求めます。福田や牧田の移籍には人間関係も大きく影響したのでしょう。巨人、阪神のブランドだとか、セ、パの優先順位は関係なかったのでしょうね」 楽天は2015年にロッテから獲得した今江敏晃以降、西武の岸孝之、西武の浅村栄斗、そして今オフの鈴木、牧田と積極補強が目立つようになっている。Jリーグのヴィッセル神戸では何十億円もかけてイニエスタを補強するなど楽天本体に資金力はある。またロッテにしても本社に資金力はある球団だ。 巨人、阪神に条件面で、そう大きく見劣りすることもなくなっているのならば選手が「ブランドより自分の力を最大限に発揮できる環境のチーム」を選ぶのも無理はない。まだメジャー移籍を希望している西武・秋山がどこに落ち着くのかわからないが、今オフのストーブリーグは、プロ野球の時代の変化を象徴するような流れとなっている。