今だから明かす“日本シリーズ指笛騒動”“9月の不調”…DeNA東克樹・独占インタビュー「勝ち星より大事なもの」「3年やってこそ」のエース哲学
「いや本当、長かったですね」 日本シリーズ制覇から約10日後の秋季トレーニング中、横浜DeNAベイスターズの東克樹は、しみじみとした表情でそう言った。 【写真】「これがエースだ!」東克樹の粘りの投球、MVP・ガッツマン桑原のスーパーキャッチ&変なダンスほかベイスターズの激闘をすべて見る 2月の春季キャンプから11月3日までつづいた今シーズン、エースとして先頭に立ち、一心不乱に駆け抜けた日々だった。 「だから例年とは違って、今後の自主トレとかあまり時間ないなって。そこは気をつけて調整していかないと」 すでに気持ちは来シーズンへ。「うれしい悲鳴ですね」と伝えると、東は笑った。 「ある意味でね」 チームのど真ん中の存在として達成した26年ぶりの日本シリーズ制覇。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦では左腿裏のアクシデントにも見舞われた。けれども約2週間で戦列に復帰し、2連敗を喫していた日本シリーズ第3戦でマウンドに立ち、勝利を遂げ、その後の流れを変えたエースの存在。改めて、日本シリーズ制覇をどのように捉えているのだろうか。
我慢の日々があったからこそ
「もちろん、すごくうれしかったですよ。それにしっかりとシーズンを投げ抜いて、頂点に立てたというのは、自分にとってすごくいい経験になりました」 そう言うと、東は一瞬考えるような表情をした。 「それに、なにもできないで日本一になるのと、チームに貢献して日本一になるのでは、いろいろ違うのかなって思いますしね」 振り返れば3~4年前は、トミー・ジョン手術を受けたことで、チームの戦力になれない苦しい時間を過ごしてきた。あのもどかしい日々の我慢があったからこそ今がある。東の言葉には、やり遂げた者にしか感じられない重みがあった。
勝ち星よりも、イニング数
今季のスタッツは、リーグ最多タイの26試合に登板し13勝4敗、防御率2.16。素晴らしい数字だが、他にも横浜スタジアムで11連勝、開幕から8連勝の球団レコード、また32試合連続クオリティースタート(QS・6回以上、自責点3以下)を達成するなど記録ずくめだった。 「勝ち星に関してはあまり気にしていないというか、自分一人ではどうにもできないところがありますからね。それよりもやっぱりイニング数を投げられたところが大きい」 今季はレギュラーシーズンではリーグ最多の183イニングを投げ切った。東にとってキャリアハイであり(過去最多は2023年の172.1イニング)、近代野球において200イニングに迫る投球回数は、賞賛に値すると言ってもいい。 「その点に関してはすごく満足していますし、平均で1試合7イニングぐらいいったのかな。僕としては先発の役割を十分に果たせたと思います」 思えば、今季も苦しい運用となってしまった先発の後を受けるリリーフ陣であったが、イニングを稼げる東の存在がなかったらさらに窮地に追い込まれていたことだろう。先発としての矜持を、東は体現した。
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